民泊

民 泊

民泊営業の種類と特徴

民泊は大きく分けると、簡易宿所・特区民泊・民泊新法に分けることができます。

構造や設備の基準、手続き方法にも違いが見られ、難易度は高い順に「簡易宿所→特区民泊→民泊新法」になります。

旅館業法に基づく簡易宿所に比べ、特区民泊や民泊新法は初期費用や手続きにおいて、参入障壁が低いため、副業や投資対象としてもおすすめです。

簡易宿所
としての民泊
特区民泊
(各自治体ごとに詳細は異なる)
住宅宿泊事業法による民泊(民泊新法)
法令旅館業法各自治体の条例住宅宿泊事業法
契約形態宿泊契約賃貸借契約宿泊契約
申告方法許可認定届出(家主居住型)
登録(家主非居住型)
年間営業日数365日可365日可180日以内
宿泊日数制限なし2泊3日以上
(区域により6泊7日以上)
制限なし
居室床面積一人当たり3.3㎡以上25㎡以上一人当たり3.3㎡以上
住居専用地域での
営業可否
不可不可
玄関帳場(フロント)の設置有無条例による不要不要

特区民泊

特区民泊とは?

特区民泊の正式名称は、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業のことで、一言で言うと「旅館業法の適用が除外された民泊」のことです。

国家戦略特別区域法第13条に基づき、2016年1月に全国で初めて東京都大田区が取組みを開始されました。現在では、大阪府大阪市をはじめ、千葉市、新潟市、北九州市が特区民泊が可能な地域に指定されています。

旅館業を開始するためには、旅館業法に基づき、都道府県(窓口は保健所)から営業許可証を取得する必要があり、要件を満たすためには構造や設備、必要書類など、数多くのハードルをクリアする必要があります。

一方、特区民泊は、この旅館業法の適用が除外されるため、都道府県に認定を受けることで比較的容易に事業を開始することができます。

ただし、特区民泊は外国人観光客の受け入れを想定した施策であるため、滞在期間が2泊3日以上の宿泊客しか利用させることができません。なお、2泊3日以上であれば日本人観光客を宿泊させることも可能です。

大阪で特区民泊が認定される地域

大阪府下で、特区民泊の新規の認定申請が可能な市区町村は以下の通りです。※2025年9月8日現在

  • 大阪市
  • 八尾市
  • 岸和田市
  • 池田市
  • 貝塚市
  • 守口市
  • 泉佐野市
  • 富田林市
  • 松原市
  • 和泉市
  • 柏原市
  • 羽曳野市
  • 門真市
  • 摂津市
  • 大阪狭山市
  • 阪南市
  • 豊能町
  • 能勢町
  • 熊取町
  • 岬町
  • 河南町
  • 千早赤坂村
  • 泉南市
  • 忠岡町
  • 田尻町
  • 太子町

大阪府内の「特区民泊」、2026年5月29日、新規の受け付け停止へ

本年5月30日以降、すでに開業している特区民泊の居室を追加したり、広くしたりすることも認められないといいます。

一方、受け付け停止前に申請が認められた特区民泊は今まで通り営業できます。

 特区民泊で必要となる近隣住民への説明会

特区民泊は外国人観光客が宿泊することが多いため、文化の違いやルールメイキングが不十分な場合、騒音や喫煙、不法投棄などで近隣住民とトラブルになる可能性が高くなります。

そのため、特区民泊の事業者は、申請手続きの中で、住民説明会を開催することが義務付けられています

民泊を営業していくためには、近隣住民の信頼関係を構築しておくことが必要不可欠です。

信頼関係がないまま、営業を続けていると、住民から度々クレームが入り、最終的には事業者だけでなく宿泊者にしわ寄せがいきます。

そして、料金をいただく宿泊者の満足度が下がれば、高評価や口コミが得られず、集客できないという悪循環に陥ります。

住民説明会は、近隣住民と信頼関係を構築するための第一歩であり、事業開始するための重要な手続きとなります。

説明する相手

当該宿泊施設(境界線)を中心に円を描き10m以内(または外壁から20m以内)の建物・住民に対して、説明する必要があります。

説明を行う住民から同意が得られなくても、手続き自体は進めることはできますが、後々のトラブルを避けるために、誠意を持って説明を行いましょう。

状況に応じて、協定書を作成し、条件や約束を書面として残しておくことで、住民からの理解が得られやすくなります。

説明する内容

住民への説明が必要な内容は、主に以下のとおりです。

・建築計画の概要(新築の場合)
・施設の名称・所在地の説明
・施設運営に関する説明(民泊の種別、管理形態、廃棄物の処理方法)

上記に加え、近隣住民により安心してもらうために、騒音や不法投棄などトラブル防止のための施策、クレームの窓口、火災や事故が起きた際の緊急連絡先なども説明しておきましょう。

説明会の流れ

住民説明会の流れは、以下のとおりです。

①対象となる住民に説明会の案内をポスティング
②当日、参加者に対し事業を説明
③不参加者から問い合わせがあれば対応

近隣住民の中には民泊に気をかけているものの、当日、都合がわるく参加できなかった人がいるかもしれません。

不参加者に対して、後日改めて住民説明会を開く必要はありませんが、議事録をポスティングしておくことで納得感を得られやすくなります。

大阪の特区民泊の認定申請の流れ

大阪で特区民泊の営業を開始するためには、都道府県(窓口は保健所)より認定を受ける必要があります。

申請から認定を受けるまでの流れは下記の6STEPになります。

STEP
事前相談

簡易宿所や特区民泊は、住宅宿泊事業法による民泊よりも建物の構造・設備の要件が難しくなります。物件を取得(購入または賃貸)する前に特区民泊の所在地を管轄する保健所と消防署に事前相談が必要です。

相談に行く前に、予約を入れておき、当日は物件資料(住宅図面・マイソク)を持参します。

事前相談で確認すべき内容は以下の2つです。

  • 当該物件は特区民泊の要件を満たしているか
  • 要件を満たすために必要な構造・設備は何か

必要なリフォームや住宅設備、消防設備が分かれば、ある程度の予算を組むことができます。

消防設備の設置工事の見積もりを取り、必要な工事を進め、工事完了後は、消防署の職員に現地調査があり、消防設備に不備がなければ消防署より、消防法令適合通知書が交付されます。

STEP
住民説明会・事業計画の周知

保健所や消防署に事前相談が終われば、近隣住民に対して、住民説明会を開催します。エリアによっては住民説明会が不要の場合がありますが、その場合でも個別訪問やポスティングは必ず実施します。

STEP
廃棄物処理業者の選定

民泊施設から出るごみは「事業系ごみ」として扱われるため、自治体による行政収集の対象外となります。(家庭ごみと同じ一般廃棄物ではなく、産業廃棄物となります。)

「家庭ごみ」とは処理方法が異なり、事業主で廃棄物処理業者に収集運搬を委託する必要があります。収集場所や収集頻度によって料金が異なるため、複数者の見積もりを取るのがおすすめです。

廃棄物処理業者が決まれば、環境局に報告書を提出し、受付証明書を発行してもらいます。

STEP
認定申請

住民説明会が完了すれば、次は必要書類を作成・収集し、保健所に提出します。
特区民泊の認定申請に必要書類は、以下のとおりです。

  • 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)特定認定申請書
  • 住宅図面(間取り・床面積・設備等がわかるもの)
  • 付近見取図
  • 住民説明会の議事録(説明に使用した資料含む)
  • 近隣住民からの苦情や問合せに対応可能であることがわかる資料
  • 消防法令適合通知書の写し
  • 水質検査成績書の写し(使用水が水道水以外の場合)
  • 賃貸借契約書の写し(賃貸物件の場合、民泊許可の記載があるもの)
  • 管理規約の写し(分譲物件の場合、民泊禁止の記載がないもの)
  • 環境局の受領証明書

    〈法人の場合〉
  • 定款(または寄付行為)
  • 登記事項証明書(役員等の名簿添付)

    個人の場合〉
  • 住民票の写し(発行日から3ヶ月以内)
STEP
現地調査

提出した必要書類に不備がなければ、保健所の職員による現地調査が行われます。

基本的には、提出書類と相違がないかの照会が行われますが、構造の欠陥や住宅設備の不足により保健衛生上の問題があれば指摘が入る可能性があります。

問題があり指摘を受けた場合は、その内容を改善し、再度、保健所の職員と現地調査の日程を調整します。

STEP
認定書の交付

現地調査をクリアすれば、保健所から特区民泊の営業する認定書が交付されます。

認定書を受け取り次第、OTA(Online Travel Agent)に認定書の情報を登録し、宿泊者の集客を開始します。

住宅宿泊事業法による民泊(民泊新法)

要件について

民泊新法では下記要件をクリアする必要があります。

  • 「宿泊者数 × 3.3㎡」以上の床面積が必要です。
  • 家主居住型の場合、一般住宅と同等の扱いとなるため、住宅用火災警報器を設置するだけで済みます。
  • 宿泊室(ゲストが専有して使用する部屋)の床面積が50㎡超の家主居住型または家主不在型の場合、旅館業や特区民泊と同等の扱いとなるため、消火器、自動火災報知設備、誘導灯などの追加工事が必要です。要件を満たせば免除になることもあります。
  • 居室が6部屋以上の家主居住型または家主不在型の場合、住宅宿泊管理業者に管理を委託する必要があります。
  • 部屋の中に、キッチン・浴室(シャワーのみ可)・トイレ・洗面所が設備として必要です。
  • 賃貸借している物件の場合、民泊可能の記載がある契約書、または所有者が同意している証明書が必要です。
  • 区分所有の建物で、管理規約に民泊禁止の記載がある場合、民泊は不可になります。
  • 物件の延べ床面積が200㎡を超える場合、追加工事が必要です。
  • 物件の延べ床面積が6000㎡以上またはマンション等で11階以上のフロアの場合、スプリンクラーの設置が必要です。

手続きの流れ

STEP
物件調査

・民泊物件の資料(または情報)をお送りいただきます。

・民泊の種別や、権利関係などをヒアリングします。

STEP
届出の準備

・保健所に事前相談を行い、必要な消防設備をお伝えします。

・必要書類を収集・作成します。

・消防設備士によるお見積もりをご確認の上、消防設備の設置工事を進めていただきます。

・消防設備の設置が完了すれば、消防署から「消防法令適合通知書」が交付されます。

・住民説明会の案内書を配布・掲示し、約1週間後に実施いたします。

・廃棄物処理業者の委託先をお決めいただきます。

STEP
届出

・保健所へ届出書類一式を提出します。

・提出後、保健所から「届出番号(住宅宿泊事業)」または「認定番号(特区民泊)」が交付されます。

STEP
納品

・届出書類一式をお送りいたします。

・ご精算とアフターフォローさせていただきます。

簡易宿所としての民泊

要件について

簡易宿所としての民泊では下記要件をクリアする必要があります。

  • 適当な換気、採光、照明、防湿、排水の設備を有する必要があります。
  • 玄関帳場の基準は、自治体や旅館業の種別で異なります。
  • 建物の規模・構造に応じて、消防設備の設置する必要があります。
  • 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模(数)の入浴設備、洗面設備、便所を有する必要があります。
  • 簡易宿所の場合、客室の延べ床面積は33㎡(宿泊者の数が10人未満の場合、「宿泊者数 × 3.3㎡」)以上である必要があります。
  • 簡易宿所の場合、複数人で共用する客室(ダブルベッドが設置されている客室を除く)の延べ床面積は、全客室の延べ床面積の2分の1以上である必要があります。
  • 簡易宿所で2段式ベッド(3段以上は不可)を有する場合、上段と下段は、1m程度の間隔が必要です

    ※旅館・ホテルの場合、一客室の床面積は7㎡(寝台を置く客室の場合は、9㎡)以上である必要があります。

手続きの流れ

STEP
物件調査

・旅館業をご検討されている、物件資料(または情報)をお送りいただきます。

・旅館業の種別や、権利関係などをヒアリングします。

・保健所や建築審査課に事前相談を行い、適合する構造や必要な設備をお伝えします。

STEP
申請の準備

・必要書類を収集・作成いたします。

・消防設備士や電気工事等によるお見積もりをご確認の上、消防設備の設置工事を進めていただきます。

・消防署職員による現地検査を受け、不備がなければ消防署から「消防法令適合通知書」が交付されます。

・近隣住民へ説明会を実施いたします。

・環境局へ廃棄物の処理に関する報告を行います。

STEP
許可申請

・保健所に必要書類を提出いたします。

・保健所職員による現地検査を受け、不備がなければ保健所から「営業許可証」が交付されます。

STEP
納品

・届出書類一式をお送りいたします。

・ご精算とアフターフォローさせていただきます。