【大阪の建設業許可】土木工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士がわかりやすく解説

■ はじめに
「道路工事や河川工事を請け負いたいが、建設業許可が必要だと聞いた」「土木工事業の許可はどうやって取ればいいのか、専任技術者の要件が難しくてわからない」——大阪府内の建設事業者様から、このようなご相談を日々いただきます。
建設業の許可は全29業種に分類されており、そのなかでも「土木工事業(土木一式工事)」は、道路・橋梁・河川・トンネルなど社会インフラを支える工事を幅広くカバーする、最も基幹的な業種の一つです。国土交通省が定める「指定建設業7業種」のひとつでもあり、許可要件——特に専任技術者の要件——が他業種と異なる厳しい規定が設けられています。
本記事では、大阪府で土木工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、土木工事業の定義と対象工事の範囲、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者に必要な資格、そして実務上つまずきやすい注意点まで、行政書士の視点からわかりやすく解説します。許可取得に向けた第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
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■ 土木工事業(土木一式工事)とは
土木工事業の正式名称は「土木一式工事業」といい、建設業法上の29業種のうち「一式工事」に分類される業種です。建設工事には「土木一式工事」と「建築一式工事」の2種類の一式工事があり、残りの27業種が専門工事にあたります。
国土交通省の定義によれば、土木一式工事とは「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事」を指します。つまり、複数の専門工事を組み合わせて総合的に管理・施工する大規模工事が主な対象です。元請事業者として工事全体を統括し、専門業者を組み合わせて施工する、いわゆる「元請業者の業種」と理解していただくと分かりやすいでしょう。
【土木工事業の主な対象工事の例】
・道路の新設、改良、舗装工事(ただし、舗装のみ行う場合は「舗装工事業」が別途必要)
・河川工事(護岸工事、堤防工事など)
・橋梁工事
・ダム工事
・トンネル工事
・砂防工事
・海岸工事
・港湾工事
・上下水道の幹線工事(管路の設置工事等を含む)
・鉄道工事(線路の敷設工事等)
・農業用水路の設置工事
・地盤改良工事
・大規模な土地造成工事
これらの工事は、1社の専門工事業者では対応しきれない規模・範囲であり、複数の専門業者を束ねて工事全体を総合管理する元請業者が「土木一式工事業」の許可を必要とします。
【「土木一式」では専門工事を単独施工できない点に注意】
土木一式工事業の許可を取得したからといって、すべての土木系専門工事を自社で施工できるわけではありません。たとえば、舗装工事だけを単独で請け負う場合は「舗装工事業」の許可が、とび・土工工事(掘削・土砂運搬など)を単独で請け負う場合は「とび・土工・コンクリート工事業」の許可が別途必要です。
一式工事の許可はあくまで「複数の専門工事を統合した元請工事」を行うためのものであり、それぞれの専門工事を単体で受注したい場合は、専門工事業種の許可も別途取得する必要がある点を必ず押さえておいてください。
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■ 建設業許可が必要になるケース
土木工事業(およびすべての建設業種)において、建設業許可が必要となるのは、以下の規模を超える工事を請け負う場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事
※建築一式工事の場合は1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事が基準となりますが、土木一式工事は「500万円以上」が基準です。
500万円未満(税込)の「軽微な工事」であれば、建設業許可なしで施工することは法律上可能です。ただし、元請から発注される工事は500万円を超えるケースがほとんどであり、公共工事への参加には許可取得が事実上の前提条件となります。大阪府内で継続的に土木工事を受注していくためには、早めに許可を取得することが重要です。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
過去の法改正により、以前より柔軟な対応が可能となっています。自社の経歴や体制が要件を満たすかどうかは、個別に確認が必要です。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること(★土木工事業は特別なルールあり)
建設工事の請負契約の適正な締結・履行を確保するために、許可を受けるすべての営業所に、一定の資格または経験を有する「専任技術者(営業所技術者)」を常勤で配置することが必要です。
土木工事業は「指定建設業7業種」のひとつであるため、専任技術者の要件に特別なルールが適用されます。詳しくは次章で解説します。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可の場合:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可の場合(より厳しい基準):
・資本金2,000万円以上、かつ自己資本4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法、その他の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ 土木工事業の専任技術者要件(重要!指定建設業のルール)
土木工事業は、建設業法施行令第5条の2に規定された「指定建設業7業種」(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)のひとつです。指定建設業の専任技術者には、通常の業種にはない特別な規制が適用されます。
この点が、土木工事業の許可取得において最も注意が必要なポイントです。
【一般建設業許可の専任技術者】
一般建設業許可を受けようとする場合、土木工事業の専任技術者は次のいずれかの要件を満たす必要があります。
ルート①:国家資格・技術者資格による方法
以下の国家資格・技術士資格等のいずれかを保有している者が該当します。
・1級建設機械施工技士(一般・特定両対応)
・2級建設機械施工技士(第1種〜第6種)
・1級土木施工管理技士(一般・特定両対応)
・2級土木施工管理技士(種別:土木)
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリートを除く」・総合技術監理「建設」)(一般・特定両対応)
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設-鋼構造及びコンクリート」)(一般・特定両対応)
・技術士(農業部門「農業土木」・総合技術監理「農業-農業土木」)
・技術士(水産部門「水産土木」・総合技術監理「水産-水産土木」)
・技術士(森林部門「森林土木」・総合技術監理「森林-森林土木」)
・地すべり防止工事士(登録後1年以上の実務経験が必要)
※令和5年7月1日の省令改正により、1級技術検定(1次・2次検定)の合格者は大学指定学科卒業と同等、2級技術検定(1次・2次検定)合格者は高校指定学科卒業と同等とみなされ、それぞれ定められた実務経験年数を満たすことで専任技術者になることができるようになりました。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園に関する学科を含む)、都市工学、衛生工学または交通工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
ルート③:実務経験のみによる方法
・土木工事業に関して10年以上の実務経験を有する者
【特定建設業許可の専任技術者(重要な制限あり)】
特定建設業許可(下請業者に発注する金額の合計が4,500万円以上となる元請工事を受注する場合に必要)の専任技術者については、土木工事業が「指定建設業」に該当するため、一般建設業とは根本的に異なる厳しい制限があります。
★ 指定建設業の特定建設業では、「実務経験のみ(10年)」での専任技術者は認められません。★
特定建設業の土木工事業の専任技術者になれるのは、以下の者に限られます。
・1級建設機械施工技士
・1級土木施工管理技士
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリートを除く」・総合技術監理「建設」など)
・国土交通大臣が認定した大臣特別認定者(指定建設業制度導入時に実施された特別認定講習・考査合格者。現在は新規の認定は行われていません)
つまり、特定建設業の土木工事業を取得するには、原則として「1級土木施工管理技士」または「技術士(建設部門等)」などの1級国家資格が不可欠です。この点を見落として特定建設業の許可申請を行うと、要件を満たさず許可が取れないだけでなく、申請準備に多大な時間・費用を費やすことになりますのでご注意ください。
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■ 一般建設業と特定建設業の違い
大阪府で土木工事業の許可を取得する際、「一般建設業」と「特定建設業」のどちらを申請すべきかを事前に整理することが重要です。
一般建設業許可:
・下請に発注する金額の合計が4,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満)の場合
・比較的規模の小さい元請工事、または下請として施工する場合
特定建設業許可:
・元請として受注し、下請業者への発注総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)となる工事を請け負う場合
公共工事の大型案件や、官公庁発注の土木工事を元請として受注したい場合は、特定建設業許可が必要になるケースが多くなります。財産的基礎や専任技術者の要件がより厳しいため、現状の自社の経営状況・技術者体制と照らし合わせて、どちらの許可が適切かを慎重に判断してください。
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■ 大阪府で土木工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内で土木工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、実務上特に注意が必要なポイントをまとめます。
【1】「土木一式」と専門工事業種を組み合わせて取得する
土木工事業(一式)の許可だけでは、自社の職人で専門工事(舗装・とび・土工・管工事など)を直接施工することはできません。大阪府内で土木工事の元請業者として幅広く活動したい場合は、土木一式に加えて「舗装工事業」「とび・土工・コンクリート工事業」など、自社が実際に施工する専門工事業種の許可も合わせて取得することを検討してください。
【2】専任技術者の選定は早めに行う
特に特定建設業を目指す場合、1級土木施工管理技士や技術士(建設部門等)の資格を保有した専任技術者を確保する必要があります。専任技術者は「常勤」が求められるため、外部から資格者を雇用する場合は、雇用形態・常勤性の証明(社会保険の加入状況等)に注意が必要です。
【3】実務経験の証明書類を早めに整理する
資格を保有していない場合、「10年以上の実務経験」で専任技術者の要件を満たすルートを取ることになります(一般建設業の場合)。この場合、過去10年分の工事実績を工事請負契約書・注文書・請求書(および入金確認資料)などの客観的書類で証明する必要があります。書類が手元にない場合は準備に時間がかかりますので、早めの確認をおすすめします。
【4】許可申請から許可取得まで一定の期間がかかる
大阪府知事許可(大阪府内のみで営業する場合)の標準処理期間はおおむね1〜2か月程度、国土交通大臣許可(複数都道府県に営業所を置く場合)は約3か月程度が目安とされています。公共工事の入札参加資格申請や新規受注のタイミングを見越して、余裕を持って手続きを進めることが重要です。
【5】許可の有効期間と更新を忘れずに
建設業許可の有効期間は5年間です。期間満了の30日前までに更新申請を行わなければ、許可は失効します。また、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、この届出を怠ると更新ができなくなる場合があります。日常的な書類管理も許可維持の重要な要素です。
【6】令和5年7月の省令改正による専任技術者要件の緩和を活用する
令和5年7月の省令改正により、1級・2級の技術検定(1次・2次検定)合格者をそれぞれ大学・高校の指定学科卒業者とみなし、一定の実務経験年数(3年または5年)を満たすことで専任技術者になれるルートが追加されました。資格取得の途上にある技術者がいる場合は、最新の要件を確認したうえで許可申請のタイミングを検討することをおすすめします。
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■ まとめ
土木工事業(土木一式工事業)は、道路・橋梁・河川・トンネル・ダムなど社会インフラを支える工事を元請として総合管理する業種であり、建設業許可29業種のなかでも特に重要な位置づけを持つ「指定建設業」のひとつです。
大阪府内で土木工事業の許可を取得するには、①経営業務の管理を適正に行う能力、②営業所ごとの専任技術者の配置(一般は10年実務経験可・特定は1級資格が原則必要)、③誠実性、④財産的基礎、⑤欠格要件への非該当、という5つの要件をすべて満たす必要があります。
とりわけ「指定建設業」に特有の専任技術者要件(特定建設業では1級資格が必要)は、他業種と比べて厳しい規定が設けられており、要件を正確に把握したうえで計画的に準備を進めることが許可取得への近道です。
「要件を満たせるかどうか確認したい」「書類の準備をプロに任せたい」「許可取得後の届出管理も一括でお願いしたい」という方は、ぜひ建設業許可を専門とする行政書士にご相談ください。
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