【大阪の建設業許可】建築工事業(建築一式工事)とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士がわかりやすく解説

■ はじめに

「新築住宅や事務所ビルの建設を請け負うために建設業許可が必要だと言われたが、どの業種の許可を取ればよいかわからない」「建築工事業(建築一式工事)の許可を取りたいが、専任技術者の要件が複雑で困っている」——大阪府内の工務店・建設会社・リフォーム業者の方から、このようなご相談を多くいただきます。

建設業の許可は全29業種に分類されており、そのなかでも「建築工事業(建築一式工事)」は、住宅・ビル・マンション・商業施設など、あらゆる建築物の新築・増改築・大規模修繕を元請として総合管理する、最も身近で重要な業種のひとつです。また、「指定建設業7業種」のひとつでもあり、専任技術者の要件については一般の業種よりも厳しいルールが適用されます。

さらに、令和7年(2025年)2月1日の建設業法改正により、特定建設業許可が必要となる下請発注金額の基準が変更されるなど、最新の法改正情報も踏まえた理解が必要です。

本記事では、大阪府で建築工事業(建築一式工事業)の許可取得を検討されている事業者様に向けて、建築工事業の定義と対象工事の範囲、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者に必要な資格、一般と特定の違い、そして実務上つまずきやすい注意点まで、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

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■ 建築工事業(建築一式工事)とは

建築工事業の正式名称は「建築一式工事業」といい、建設業法上の29業種のうち「一式工事」に分類される業種です。建設工事には「土木一式工事」と「建築一式工事」の2種類の一式工事があり、残りの27業種が専門工事にあたります。

国土交通省の定義によれば、建築一式工事とは「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」です。具体的には、建築確認が必要な新築工事や大規模な増改築工事が典型例とされており、大工・電気・管工事・内装仕上げなど複数の専門業者を束ねて建物全体を統括管理する、いわゆる「元請業者の業種」です。

【建築工事業の主な対象工事の例】

・建築確認を必要とする新築工事(住宅・マンション・事務所ビル・工場・倉庫など)
・増築・改築工事(建築確認が必要な規模のもの)
・大規模な修繕工事(建物全体にわたる総合的なリノベーション等)
・建物の解体を伴う建て替え工事(総合管理を行う元請の場合)
・公共施設・商業施設の建設工事(元請として統括管理する場合)

これらはすべて「元請として複数の専門工事をまとめて管理する立場で施工する場合」が建築一式工事に該当するものであり、単独の専門工事(大工工事・内装工事・電気工事など)を個別に請け負う場合はそれぞれ対応する専門工事業の許可が必要になります。

【「建築確認を必要とする工事」が一つのメルクマール】

建築工事業の対象となる「建築一式工事」かどうかを判断するひとつの目安として、「建築確認を必要とする工事かどうか」が実務上よく使われます。住宅や事務所の新築、一定規模以上の増改築など、建築基準法上の確認申請が必要となる工事が典型的な建築一式工事にあたります。

【「建築一式」の許可だけでは専門工事を単独施工できない】

建築工事業(建築一式工事業)の許可を取得しているからといって、すべての専門工事を自社施工できるわけではありません。たとえば、電気工事・管工事・内装仕上げ工事・大工工事などを単独で請け負う場合には、それぞれ対応する専門工事業の許可が別途必要です。「建築一式の許可があれば何でもできる」という誤解が非常に多いため、注意が必要です。

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■ 建設業許可が必要となるケース(建築工事業特有の基準に注意)

建設業の許可が必要となる工事の規模は、業種によって異なります。建築一式工事については、以下の基準が適用されます。

【建築一式工事で許可が必要となる規模】
・1件の請負代金が1,500万円以上(税込)の工事
・または、請負代金にかかわらず、延べ面積が150㎡以上の木造住宅工事

建築一式工事以外の専門工事(大工・電気・管工事等)では「500万円以上」が基準ですが、建築一式工事は「1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅」という特別な基準が設けられています。

木造住宅の建設を行う事業者様は特にご注意ください。請負代金が1,500万円未満であっても、延べ面積が150㎡以上の木造住宅工事であれば建設業許可が必要となります。

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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件

建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること

法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。

・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと

2020年10月の法改正により要件が緩和され、以前に比べて多様な経歴での対応が可能となっています。

【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること(★建築工事業は指定建設業)

建設工事の請負契約の適正な締結・履行を確保するために、許可を受けるすべての営業所に、一定の資格または経験を有する「専任技術者(営業所技術者)」を常勤で配置することが必要です。

建築工事業は「指定建設業7業種」のひとつであるため、特別な規制が適用されます(詳しくは次章で解説します)。

【要件3】誠実性があること

申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。

【要件4】財産的基礎等があること

一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること

特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること

【要件5】欠格要件に該当しないこと

申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、次のような欠格要件に該当しないことが必要です。

・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など

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■ 建築工事業の専任技術者要件(重要!指定建設業のルール)

建築工事業は、建設業法施行令第5条の2に規定された「指定建設業7業種」(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)のひとつです。指定建設業には通常の業種にはない特別な規制が適用されます。

この専任技術者要件こそが、建築工事業の許可取得において最も注意が必要なポイントです。

【一般建設業許可の専任技術者】

一般建設業許可を受けようとする場合、建築工事業の専任技術者は次のいずれかの要件を満たす必要があります。

ルート①:国家資格・技術者資格による方法

以下の国家資格等のいずれかを保有している者が該当します。

・1級建築施工管理技士(一般・特定両対応)
・2級建築施工管理技士(種別:建築)
・1級建築士(一般・特定両対応)
・2級建築士
・木造建築士
・技術士(建設部門・総合技術監理「建設」等)(一般・特定両対応)

※令和5年7月1日の省令改正により、1級技術検定(1次・2次検定)の合格者は大学指定学科卒業と同等、2級技術検定(1次・2次検定)合格者は高校指定学科卒業と同等とみなされ、定められた実務経験年数を満たすことで専任技術者になることができるルートが追加されました。

ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法

建築学または都市工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。

・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験

ルート③:実務経験のみによる方法

・建築工事業に関して10年以上の実務経験を有する者

【特定建設業許可の専任技術者(重要な制限あり)】

★ 建築工事業は「指定建設業」のため、特定建設業の専任技術者は「実務経験のみ(10年)」では認められません。★

これが他の多くの業種と大きく異なる点です。一般建設業であれば10年の実務経験だけで専任技術者になれますが、特定建設業の建築工事業ではそれは認められず、原則として以下の1級資格が必要です。

・1級建築施工管理技士
・1級建築士
・技術士(建設部門等)
・国土交通大臣が認定した大臣特別認定者(現在は新規の認定は行われていません)

つまり、特定建設業の建築工事業を取得するには、「1級建築施工管理技士」または「1級建築士」のいずれかの1級資格が実質的に必要不可欠となります。この点を見落として申請を進めると、要件を満たさず許可が取れないというケースが生じますので、事前に必ず確認しておいてください。

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■ 一般建設業と特定建設業の違い(令和7年2月改正に注意)

大阪府で建築工事業の許可を取得する際、「一般建設業」と「特定建設業」のどちらを申請すべきかを整理することは非常に重要です。

【区分の基準】

一般建設業許可:
・元請として受注した工事で、下請業者への発注総額が8,000万円未満(税込)の場合
・下請として施工する場合(この場合は常に一般建設業許可でよい)

特定建設業許可:
・元請として受注し、下請業者への発注総額の合計が8,000万円以上(税込)となる工事を請け負う場合

【重要!令和7年2月1日の法改正】

令和7年(2025年)2月1日の建設業法改正により、建築工事業における特定建設業許可が必要となる下請発注金額の基準が「7,000万円以上」から「8,000万円以上」に引き上げられました。

この改正前に「7,000万円以上8,000万円未満の下請発注が生じるから特定建設業が必要」と考えていた事業者様については、改正後は一般建設業許可で対応できるケースが出てきています。一方で、従来から特定建設業許可を取得していた事業者様も、改正内容を正しく理解したうえで今後の受注計画を立てることが重要です。

※なお、建築工事業以外の業種では、下請発注金額の基準は「5,000万円以上」(令和7年2月改正後)となっています。

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■ 大阪府で建築工事業の許可を取得する際の注意点

大阪府内で建築工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、実務上特に注意が必要なポイントをまとめます。

【1】「建築一式」と専門工事業種を組み合わせて取得する
建築工事業(建築一式)の許可だけでは、自社職人で電気工事・大工工事・内装仕上げ工事などを直接単独施工することはできません。リフォーム会社や工務店が幅広いサービスを自社施工で提供したい場合は、建築一式に加えて「大工工事業」「内装仕上げ工事業」「屋根工事業」「タイル・れんが・ブロック工事業」など、実際に自社で施工する専門工事業種の許可も組み合わせて取得することを強くおすすめします。

【2】「建築一式で何でもできると思っていた」という誤解に注意
大阪府内の建設業許可に関するご相談の中で特に多いのが、「建築一式の許可を取ったので、電気工事も内装工事も自社でできると思っていた」というケースです。建築一式工事業の許可はあくまで「元請として複数の専門工事を総合管理する工事」を請け負うためのものであり、個別の専門工事を自社施工するためには対応する専門工事業種の許可が必要です。

【3】特定建設業を目指す場合は1級資格者の確保を
特定建設業の建築工事業を取得するには、1級建築施工管理技士または1級建築士の資格を保有した専任技術者が必要です。社内に資格者がいない場合、外部から雇用することになりますが、その際は「常勤性」の証明(社会保険の加入状況・雇用状況)も審査されるため、採用から許可申請まで一定の準備期間が必要です。

【4】実務経験による証明は書類準備に時間がかかる
国家資格なし・指定学科卒業なしのルート(10年実務経験)を取る場合、過去10年分の工事実績を工事請負契約書・注文書・請求書(および入金確認資料)などで客観的に証明する必要があります。書類が整っていないと準備に相当の時間を要します。早い段階から書類の整理を始めることをおすすめします。また、前職(退職した会社)での経験を証明する場合は、旧勤務先に証明書類を発行してもらう必要があり、協力が得られないケースもあるため注意が必要です。

【5】許可申請から許可取得まで一定の期間がかかる
大阪府知事許可の標準処理期間はおおむね1〜2か月程度とされています。公共工事の入札参加や大型工事の受注に備えて、余裕をもって申請手続きを進めることが重要です。

【6】許可の有効期間と決算変更届の管理を怠らない
建設業許可の有効期間は5年間です。期間満了の30日前までに更新申請を行わなければ失効します。また、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、この届出が滞ると更新申請が受理されない場合があります。許可取得後も継続的な書類管理が不可欠です。

【7】専任技術者が退職・死亡した場合は速やかに届出を
専任技術者に変更が生じた場合は、変更の日から14日以内に変更届の提出が必要です。届出が遅れると建設業法上の違反となり、罰則(6か月以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象になるほか、経営事項審査や許可更新申請ができなくなる場合があります。なお、結婚等による氏名変更も届出が必要です。

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■ まとめ

建築工事業(建築一式工事業)は、住宅・マンション・ビルなどあらゆる建築物を元請として総合管理する、建設業29業種のなかで最も身近かつ重要な業種のひとつです。

大阪府で建築工事業の許可を取得するには、①経営業務の管理を適正に行う能力、②営業所ごとの専任技術者の配置(一般は10年実務経験可・特定は1級資格が原則必要)、③誠実性、④財産的基礎、⑤欠格要件への非該当という5つの要件を満たすことが必要です。

特に「指定建設業」に特有の専任技術者要件(特定建設業では1級建築施工管理技士または1級建築士が必要)と、令和7年2月の法改正による特定建設業の下請発注基準の引き上げ(7,000万円→8,000万円)は、大阪府内で建築工事を行う事業者様が必ず把握しておくべき重要ポイントです。

「自社が許可要件を満たしているか確認したい」「建築一式と専門工事をどう組み合わせるか相談したい」「書類の準備から申請まで専門家に任せたい」という方は、建設業許可に精通した行政書士に早めにご相談ください。

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■ お問い合わせ・ご相談

アドバンスリンク行政書士事務所では、大阪府内の建設業許可(建築工事業をはじめ全29業種)に関する申請手続きを、要件確認・書類収集・申請書作成から提出・アフターフォローまでトータルでサポートしております。

「建築一式と専門工事の許可をどう組み合わせればよいか知りたい」「一般と特定のどちらを取るべきか迷っている」「1級資格者が社内にいるかどうか確認したい」「許可取得後の更新・変更届もまとめて任せたい」など、どのような段階のご相談でも構いません。大阪で建設業許可を専門とする行政書士が、貴社の状況に合わせて丁寧にサポートいたします。

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