【大阪の建設業許可】大工工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士がわかりやすく解説

■ はじめに
「住宅の木工事をメインに請け負っているが、500万円を超える工事が増えてきたので建設業許可を取りたい」「大工としての実務経験は長いが、資格がない場合でも許可は取れるのか」——大阪府内で工務店や大工工事専門の事業者を営む方から、このようなご相談をよくいただきます。
建設業の許可は全29業種に分類されており、「大工工事業」は木造建築を中心とした日本の住宅建設を支える、非常に身近で需要の高い専門工事業種です。前回・前々回の記事でご紹介した「土木工事業」「建築工事業」は専任技術者の要件が厳しい「指定建設業」でしたが、大工工事業は指定建設業には該当しないため、特定建設業であっても実務経験のみで専任技術者になれるなど、比較的取り組みやすい制度設計になっている点が特徴です。
本記事では、大阪府で大工工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、大工工事業の定義と対象工事の範囲、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者に必要な資格、そして実務上つまずきやすい注意点まで、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
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■ 大工工事業とは
大工工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、大工工事とは「木材の加工または取付けにより工作物を築造し、または工作物に木製設備を取付ける工事」とされています。
【大工工事業の主な対象工事の例】
・木造建築物の躯体工事(土台・柱・梁・小屋組などの加工・組立て)
・木造住宅の新築における大工工事一式
・型枠工事(コンクリート構造物の型枠の取付け)
・木製の建具・造作工事(取付けを伴うもの)
・プレハブ工事(木質系プレハブ住宅の組立て)
・木造の増改築・リフォームにおける大工工事
「大工」と聞くと住宅の木造建築をイメージされる方が多いと思いますが、建設業法上の大工工事業には、コンクリート構造物の型枠工事や木質プレハブの組立て工事も含まれる点が特徴です。
【建築工事業(建築一式)との違い】
「建築工事業(建築一式工事)」は、複数の専門工事を総合的に企画・指導・調整して建物を建設する元請業者の業種です。これに対して「大工工事業」は、大工工事という専門工事を単独で請け負う業者のための業種です。
たとえば、住宅の新築を一括で受注して大工・電気・水道・内装などの専門業者を取りまとめる立場であれば「建築工事業(建築一式)」の許可が必要ですし、大工工事のみを下請として請け負う、または木造住宅の大工工事部分のみを直接元請として請け負う場合は「大工工事業」の許可が必要になります。
実務上は、工務店や住宅会社が「建築工事業」と「大工工事業」の両方の許可を取得し、案件に応じて使い分けているケースが多く見られます。
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■ 建設業許可が必要となるケース
大工工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業の許可が必要となるのは以下の場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事
500万円未満の「軽微な工事」であれば、許可なしで施工することが法律上可能です。しかし、近年は木材価格の高騰や住宅設備の高機能化により、一般的な戸建て住宅の大工工事だけでも請負金額が500万円を超えるケースが増えています。元請業者から許可の有無を確認されることも多く、許可を取得していないと受注機会を逃してしまうリスクがあります。大阪府内で継続的に大工工事を受注していくためには、早めの許可取得をおすすめします。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
2020年10月の法改正で要件が緩和され、以前より多様な経歴での対応が可能になっています。個人事業主として長年大工工事を営んできた方が法人化する場合なども、個人事業主時代の経験を考慮できるケースがあります。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること
建設工事の請負契約の適正な締結・履行を確保するため、許可を受けるすべての営業所に専任技術者を常勤で配置する必要があります。大工工事業は「指定建設業」には該当しないため、専任技術者要件は比較的取り組みやすい設計になっています(詳しくは次章で解説)。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
大工工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げられています)。
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ 大工工事業の専任技術者要件(指定建設業ではないため柔軟)
大工工事業は、土木工事業や建築工事業のような「指定建設業7業種」には該当しません。そのため、専任技術者の要件は他の専門工事業種と同様に、比較的柔軟な制度設計になっています。
【一般建設業許可の専任技術者】
一般建設業許可を受けようとする場合、大工工事業の専任技術者は次のいずれかの要件を満たす必要があります。
ルート①:国家資格による方法
以下の国家資格のいずれかを保有している者が該当します。
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(種別:躯体または仕上げ)
・1級建築士
・2級建築士
・木造建築士
・技能検定「建築大工」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
・技能検定「型枠施工」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
・登録建築大工基幹技能者
・登録型枠基幹技能者
大工工事業は、建築士資格との親和性が高い点も特徴です。たとえば二級建築士であれば「建築工事」「大工工事」「屋根工事」「タイル・れんが・ブロック工事」「内装仕上工事」の5業種で専任技術者になることができ、木造建築士であれば「大工工事」業種のみで専任技術者になれます。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
建築学または都市工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
ルート③:実務経験のみによる方法
・大工工事業に関して10年以上の実務経験を有する者
なお、大工工事業には実務経験年数の緩和措置があります。大工工事における実務経験が8年を超えており、かつ大工工事以外の業種での実務経験を合わせた実務経験が合計12年以上ある場合には、10年に満たなくても専任技術者として認められるケースがあります。
【特定建設業許可の専任技術者】
大工工事業は指定建設業に該当しないため、特定建設業の専任技術者についても、一般建設業の要件を満たす者であれば、以下のいずれかで足ります。
・一般建設業の専任技術者要件を満たす国家資格保有者
・一般建設業の専任技術者要件(実務経験10年含む)を満たした者で、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の大工工事について2年以上の指導監督的実務経験を有する者
土木工事業や建築工事業のような「指定建設業」では、特定建設業の専任技術者になるために実務経験のみでのルートが一切認められませんでしたが、大工工事業ではこの制限がありません。つまり、国家資格を持っていなくても、実務経験と指導監督的経験の積み重ねによって特定建設業の専任技術者になることが可能です。これは大工工事業を含む非指定建設業種の大きな特徴であり、長年現場で経験を積んできた職人の方にとって有利な制度といえます。
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■ 大阪府で大工工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内で大工工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、実務上特に注意が必要なポイントをまとめます。
【1】建築工事業との使い分けを明確にする
住宅の新築を一括受注して各専門業者を統括する立場であれば「建築工事業(建築一式)」、大工工事のみを請け負う立場であれば「大工工事業」が必要です。両方の業務を行う事業者は、両方の許可を取得しておくことで受注機会を逃さずに済みます。自社の業務実態に即してどちらの許可(または両方)が必要かを正確に見極めることが重要です。
【2】実務経験の証明書類は早めに準備する
資格を保有していない場合は「10年以上の実務経験」で専任技術者の要件を満たすことになりますが、過去10年分の工事実績を工事請負契約書・注文書・請求書(および入金確認資料)などの客観的書類で証明する必要があります。個人事業主として長年活動してきた大工の方の中には、契約書を交わさず口約束や請求書のみで取引してきたケースも少なくありません。書類が十分に揃わない場合でも、他の資料(通帳の入金記録、確定申告書類等)で補完できることもありますので、早めに行政書士へご相談ください。
【3】実務経験の異業種間振替を活用できる場合がある
建築工事の実務経験は、大工工事・屋根工事・ガラス工事・防水工事・熱絶縁工事の実務経験に振り替えることが認められています。大工工事の実務経験が10年に満たない場合でも、建築工事の経験と合算して要件を満たせる可能性がありますので、これまでの工事歴を整理した上で確認することをおすすめします。
【4】法人の専任技術者は複数業種を兼任できる
1人の専任技術者が、要件を満たす複数の業種を同時に兼任することが可能です。たとえば1級建築施工管理技士を保有する方であれば、建築工事業・大工工事業・左官工事業・とび工事業など、最大十数業種の専任技術者を1人で兼ねた実例もあります。大工工事業に加えて将来的に他の業種の許可も視野に入れている場合は、資格取得を計画的に進めることで一度に複数業種の許可取得につなげられます。
【5】許可申請から許可取得まで一定の期間がかかる
大阪府知事許可の標準処理期間はおおむね1〜2か月程度とされています。受注予定の工事に間に合うよう、余裕をもって申請手続きを進めることが重要です。
【6】許可の有効期間と決算変更届の管理を怠らない
建設業許可の有効期間は5年間です。期間満了の30日前までに更新申請を行わなければ失効します。また、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、この届出が滞ると更新申請が受理されない場合があります。許可取得後も継続的な書類管理が不可欠です。
【7】専任技術者が退職・死亡した場合は速やかに届出を
専任技術者に変更が生じた場合は、変更の日から14日以内に変更届の提出が必要です。届出が遅れると建設業法上の違反となり、罰則(6か月以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象になるほか、経営事項審査や許可更新申請ができなくなる場合があります。
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■ まとめ
大工工事業は、木造建築物の躯体工事や型枠工事など、日本の住宅建設を支える専門工事業種です。土木工事業や建築工事業のような「指定建設業」には該当しないため、特定建設業であっても実務経験のみで専任技術者になれるなど、比較的取り組みやすい制度設計になっている点が特徴です。
大阪府で大工工事業の許可を取得するには、①経営業務の管理を適正に行う能力、②営業所ごとの専任技術者の配置、③誠実性、④財産的基礎、⑤欠格要件への非該当という5つの要件を満たす必要があります。専任技術者については、国家資格(建築士、建築施工管理技士、建築大工技能検定等)による方法、指定学科卒業+実務経験による方法、10年以上の実務経験のみによる方法という3つのルートが用意されており、資格を持たない職人の方でも実務経験を積み重ねることで許可取得への道が開かれています。
「自分の実務経験で専任技術者の要件を満たせるか確認したい」「建築工事業とどちらを取得すべきか相談したい」「実務経験の証明書類の準備を手伝ってほしい」という方は、ぜひ建設業許可を専門とする行政書士にご相談ください。
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■ お問い合わせ・ご相談
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