【大阪の建設業許可】とび・土工・コンクリート工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士が徹底解説【対象工事が最多の業種】

■ はじめに
「足場工事を請け負っているが500万円を超える案件が増えてきた」「くい打ち工事や地盤改良工事で建設業許可が必要と言われた」「外構工事や法面保護工事も行っているが、何の許可が必要かわからない」——大阪府内の建設業者様から、このような幅広いご相談を毎日のようにいただきます。
じつは、これらの工事の多くが「とび・土工・コンクリート工事業」という一つの許可業種に該当します。建設業法上の29業種の中で、とび・土工・コンクリート工事業は対象となる工事の種類が最も多い業種であり、足場工事・くい工事・土工事・コンクリート工事・地盤改良工事・外構工事・法面保護工事・アンカー工事など、建設現場の「縁の下の力持ち」的な工事を幅広くカバーしています。
許可取得を目指す事業者にとって押さえておきたいポイントは、①工事範囲の広さゆえに「自社の工事がこの業種に該当するかどうか」の見極めが複雑であること、②平成28年6月の法改正により解体工事業が別業種として独立したこと、③専任技術者になれる資格・経験の種類が他業種に比べて非常に多いこと——の3点です。
本記事では、大阪府でとび・土工・コンクリート工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、対象工事の全体像、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート、隣接業種との工事区分、そして実務上の重要な注意点まで、30年のキャリアを持つ行政書士の視点からわかりやすく解説します。
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■ とび・土工・コンクリート工事業とは
とび・土工・コンクリート工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種です。国土交通省の定義によれば、①足場の組立て・機械器具や建設資材等の重量物の運搬配置・鉄骨等の組立てを行う工事、②くい打ち・くい抜き・場所打ちぐいを行う工事、③土砂等の掘削・盛上げ・締固め等を行う工事、④コンクリートにより工作物を築造する工事、⑤その他基礎的ないし準備的工事——の5つが工事の基本区分です。
【とび・土工・コンクリート工事業の主な対象工事(例示)】
《とび工事》
・とび工事・ひき工事
・足場等仮設工事(足場の架設・解体)
・重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事
・鉄骨組立て工事(鉄骨の製作・加工は含まない)
・コンクリートブロック据付け工事(土木工事における大規模ブロック据付け)
《くい基礎工事》
・くい工事・くい打ち工事・くい抜き工事
・場所打ちぐい工事
《土工事》
・土工事・掘削工事・根切り工事
・発破工事・盛土工事
・土留め工事・仮締切り工事
《コンクリート工事》
・コンクリート工事・コンクリート打設工事
・コンクリート圧送工事
・プレストレストコンクリート工事(橋梁等を総合的に建設するものは土木一式工事)
《その他の工事》
・地すべり防止工事
・地盤改良工事
・ボーリンググラウト工事
・吹付け工事(法面処理等のためのモルタル吹付け・種子吹付け)
・法面保護工事
・道路付属物設置工事(ガードレール・標識等)
・屋外広告物設置工事(製作・加工を伴わないもの)
・捨石工事
・外構工事
・はつり工事・切断穿孔工事
・アンカー工事・あと施工アンカー工事
・潜水工事
・太陽光パネル架台のみの設置工事
これだけを見ても、建設工事全体の「基礎・準備工程」を担う業種として、いかに幅広い工事を含んでいるかがわかります。29業種のなかで対象工事の種類が最も多い業種が、このとび・土工・コンクリート工事業です。
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■ 重要!隣接業種との工事区分の考え方
とび・土工・コンクリート工事業は対象工事が広い分、他業種との境界が曖昧になりやすいポイントが複数あります。許可申請の前に必ず確認しておきましょう。
【1】「解体工事業」との区別(平成28年6月改正で分離)
平成28年(2016年)6月1日の建設業法改正により、それまでとび・土工・コンクリート工事業に含まれていた「工作物の解体工事」が独立し、29番目の業種「解体工事業」として新設されました。現在、500万円以上の工作物解体工事を請け負う場合は「解体工事業」の許可が別途必要です(500万円未満の解体工事については建設リサイクル法による解体工事業登録が必要)。
「以前はとび・土工工事業の許可でできていたから大丈夫」と思っている事業者様は要注意です。経過措置はすでに終了しており、現在は解体工事業の許可なしに500万円以上の解体工事を受注することは建設業法違反となります。
【2】「鋼構造物工事業」との区別
「とび・土工・コンクリート工事」における鉄骨組立て工事と、「鋼構造物工事」における鉄骨工事の違いは、「鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して請け負うか」どうかです。鉄骨の製作・加工を伴わずに現場での組立てのみを行う場合は「とび・土工・コンクリート工事業」に該当し、鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して行う場合は「鋼構造物工事業」となります。
【3】「石工事業」「タイル・れんが・ブロック工事業」との区別
コンクリートブロックを扱う工事においても業種区分があります。河川の根固めブロック・消波ブロックの据付けなど、土木工事における大規模なブロック据付けは「とび・土工・コンクリート工事業」です。一方、法面や擁壁としてブロックを積んだり張ったりする工事は「石工事業」、コンクリートブロックにより建築物を建設する工事やエクステリア工事は「タイル・れんが・ブロック工事業」に該当します。
【4】「左官工事業」との区別(吹付け工事の区分)
吹付け工事についても、左官工事ととび・土工・コンクリート工事で取り扱いが異なります。建築物に対してモルタル等を吹き付ける工事は「左官工事業」ですが、法面処理等のためにモルタルまたは種子を吹き付ける工事は「とび・土工・コンクリート工事業」に該当します。施工する場所や目的によって業種が変わりますので注意が必要です。
【5】「屋外広告物設置工事」と「屋外広告工事(鋼構造物工事業)」の区別
屋外広告物の設置工事においては、現場で広告物の製作・加工から設置まで一貫して請け負う場合は「鋼構造物工事業」の「屋外広告工事」となり、製作・加工を伴わない設置工事のみを行う場合は「とび・土工・コンクリート工事業」の「屋外広告物設置工事」となります。
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■ 建設業許可が必要となるケース
とび・土工・コンクリート工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業の許可が必要となるのは以下の場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事
500万円未満の「軽微な工事」であれば、許可なしでの施工が法律上可能です。しかし、とび・土工・コンクリート工事業はその性格上、大規模な基礎工事・くい工事・地盤改良工事・大型外構工事などを受注する機会が多く、500万円を超えるケースが非常に一般的です。また公共工事(道路工事・河川工事等の土木系公共工事)への参加には許可取得が事実上の前提条件となります。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
2020年10月の法改正で要件が緩和され、以前より柔軟な対応が可能となっています。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること
建設工事の請負契約の適正な締結・履行を確保するため、許可を受けるすべての営業所に専任技術者を常勤で配置する必要があります。とび・土工・コンクリート工事業は「指定建設業」には該当しないため、専任技術者要件は柔軟に設計されています(詳しくは次章で解説)。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可:以下をすべて満たすこと
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
とび・土工・コンクリート工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、次のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ とび・土工・コンクリート工事業の専任技術者要件
とび・土工・コンクリート工事業は「指定建設業7業種」(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)には該当しません。そのため、一般・特定ともに実務経験のみで専任技術者になれるルートが用意されており、職人・現場監督出身の方にとっても許可取得への道が開かれています。
また、とび・土工・コンクリート工事業は「専任技術者になれる資格の種類が29業種中で最も多い業種」として実務上知られており、1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士をはじめ、多岐にわたる資格が対応しています。
【一般建設業許可の専任技術者】
ルート①:国家資格による方法
以下の国家資格のいずれかを保有している者が該当します(代表的なものを掲載)。
・1級建設機械施工技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級建設機械施工技士(第1種〜第6種)
・1級土木施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級土木施工管理技士(種別:土木)
・1級建築施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級建築施工管理技士(種別:躯体)
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」、農業部門「農業土木」、水産部門「水産土木」、森林部門「森林土木」等)
・技能検定「とび」(1級、または2級合格後3年以上のとび工事に関する実務経験)
・技能検定「型枠施工」(1級、または2級合格後3年以上のコンクリート工事に関する実務経験)
・技能検定「コンクリート圧送施工」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
・地すべり防止工事士(登録後1年以上の実務経験)
・基礎施工士(一般社団法人日本基礎建設協会・コンクリートパイル建設技術協会が実施する基礎施工士検定試験合格者)
・登録基幹技能者(登録鳶・土工基幹技能者、登録コンクリート圧送基幹技能者、登録切断穿孔基幹技能者、登録地すべり防止工事基幹技能者、登録土工基幹技能者等)
1級土木施工管理技士は土木工事業・とび・土工工事業・石工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・しゅんせつ工事業・塗装工事業・水道施設工事業・解体工事業など、複数の専門工事業種で専任技術者を兼任できる「万能資格」として、大阪府内の許可申請でも特に需要が高い資格です。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
土木工学または建築学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
指定学科である「土木工学」に関する学科は建築土木科をはじめ50以上の学科が対応しており、「建築学」に関する学科も建築科等8学科以上が対象です。他の業種と比べても指定学科の幅が広い点がとび・土工・コンクリート工事業の特徴のひとつです。
ルート③:実務経験のみによる方法
・とび・土工・コンクリート工事業に関して10年以上の実務経験を有する者
国家資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、10年以上の実務経験があれば一般建設業の専任技術者になることができます。現場での長年の経験を積み重ねてきた職人・施工管理者の方には最も利用しやすいルートです。
【特定建設業許可の専任技術者】
とび・土工・コンクリート工事業は指定建設業に該当しないため、特定建設業の専任技術者についても以下のいずれかを満たせば足ります。
・特定建設業にも対応できる国家資格を保有する者(1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、1級建築施工管理技士、技術士等)
・一般建設業の専任技術者要件を満たす者であって、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上のとび・土工・コンクリート工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有する者
指定建設業と異なり、「実務経験のみ」で特定建設業の専任技術者になれるルートが確保されているため、1級資格者がいなくても特定建設業の取得が可能です。ただし、4,500万円以上の元請工事で2年以上の指導監督的実務経験(工事現場の主任や監督者として技術面を総合的に指導監督した経験)の証明が必要であり、実務経験証明書(様式第9号)および指導監督的実務経験証明書(様式第10号)の作成が求められます。
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■ 大阪府でとび・土工・コンクリート工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内での許可取得・維持にあたり、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを厳選して7つお伝えします。
【1】「解体工事業」の許可も必要かを必ず確認する
現在、解体工事ととび・土工・コンクリート工事は別業種です。足場仮設や土工事と合わせて解体工事も行っている事業者様は、解体工事業の許可を別途取得しているかを確認してください。未取得のまま500万円以上の解体工事を受注し続けると、無許可営業として行政処分・罰則の対象になります。
【2】工事区分は事前に確認・整理する
今回の記事でも説明したとおり、とび・土工・コンクリート工事業は他業種と工事区分の境界が複雑です。自社が請け負う工事内容が、本当にこの業種に該当するのか、あるいは鋼構造物工事・左官工事・石工事などに該当するのかを、申請前に行政書士や大阪運輸支局・大阪府に確認しておくことで、申請後の補正・再申請のリスクを回避できます。
【3】1級土木施工管理技士の取得で複数業種の許可を一括取得できる
1級土木施工管理技士を保有していれば、とび・土工・コンクリート工事業に加えて土木一式工事業・石工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・しゅんせつ工事業・塗装工事業・水道施設工事業・解体工事業など、関連する複数業種の専任技術者を1人で兼任できます。将来的に複数業種への展開を考えている事業者様は、1級資格取得を計画的に進めることをおすすめします。
【4】実務経験10年の証明は具体的な「とび・土工・コンクリート工事」の内容で行う
10年の実務経験を証明する際は、単に「建設工事をやっていた」という実績ではなく、「とび工事」「くい工事」「土工事」「コンクリート工事」など、とび・土工・コンクリート工事業に該当する工事の実績として書類(工事請負契約書・注文書・請求書等)を揃える必要があります。一見同じ現場での工事でも、内装工事や電気工事の実績は含まれません。経験年数に算入できる工事かどうかを事前に整理してから書類収集に取りかかることが大切です。
【5】技能検定「とび」の種別に注意
技能検定「とび」の2級合格者が専任技術者になるには、「合格後3年以上のとび工事に関する実務経験」が必要です(平成16年4月1日時点で既に2級合格していた者は1年以上)。技能検定に合格したからといってすぐに専任技術者になれるわけではない場合があるため、申請前に合格年月日と実務経験期間を確認してください。
【6】許可申請から取得まで約1〜2か月かかる
大阪府知事許可の標準処理期間はおおむね1〜2か月程度です。受注予定の大型工事や入札参加の時期に合わせて、余裕をもって申請手続きを進めることが重要です。書類不備があると補正で日数が伸びることもありますので、行政書士に依頼することで書類の完成度を高め、スムーズな許可取得につなげることができます。
【7】許可取得後の届出管理を徹底する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。また、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、専任技術者や役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。これらの届出を怠ると許可の更新ができなくなるだけでなく、罰則の対象にもなりえます。
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■ まとめ
とび・土工・コンクリート工事業は、足場工事・くい工事・土工事・コンクリート工事・地盤改良工事・外構工事・法面保護工事・アンカー工事など、建設現場の基礎・準備工程を幅広くカバーする、29業種中で対象工事の種類が最も多い業種です。
大阪府でこの許可を取得するには、5つの共通要件を満たしたうえで、専任技術者として国家資格保有者(1級土木施工管理技士等)・指定学科卒業+実務経験者・10年以上の実務経験者のいずれかを営業所に常勤配置する必要があります。指定建設業に該当しないため特定建設業でも実務経験ルートが活用できる一方、平成28年の法改正で解体工事業が独立したことや、他業種との工事区分が複雑である点には十分な注意が必要です。
「自社の工事がこの業種に該当するか確認したい」「解体工事業の許可も合わせて取得したい」「実務経験10年で申請できるかプロに判断してほしい」——どのような段階のご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士にお気軽にご相談ください。
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