【大阪の建設業許可】電気工事業とは?許可要件・専任技術者の資格・電気工事業登録との関係を行政書士が徹底解説【指定建設業の落とし穴に注意】

■ はじめに
「電気工事士の資格を持って独立開業したが、受注金額が500万円を超えてきたので建設業許可を取りたい」「建設業許可を取れば電気工事業の登録は不要になると聞いたが、本当か」「無資格の従業員でも実務経験があれば専任技術者になれるか」——大阪府内の電気工事事業者の方から、このような誤解を含むご相談を数多くいただきます。
建設業の許可は全29業種に分類されており、「電気工事業」はその中でも特に複雑な制度設計を持つ業種のひとつです。理由は大きく3つあります。第一に、電気工事業は「指定建設業7業種」のひとつであり、特定建設業の専任技術者には実務経験のみでなれない(1級資格が原則必要)こと。第二に、電気工事士法により無資格者は電気工事に従事できないため、無資格者の実務経験は専任技術者の要件に算入できないこと。第三に、建設業許可を取得した後も、電気工事業法に基づく「みなし登録電気工事業者の届出」を別途行わなければならず、これを怠ると罰則の対象になること——この3点を正確に理解していない事業者が非常に多く、後から大きな問題になるケースを何度も目の当たりにしてきました。
本記事では、大阪府で電気工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、電気工事業の定義と対象工事、建設業許可と電気工事業登録の関係、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート、そして実務上の重要な注意点まで、建設業許可を専門とする行政書士の視点から丁寧に解説します。
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■ 電気工事業とは
電気工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、電気工事とは「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」とされています。
一般の電気工事業者が主として行うのは、住宅・ビル・工場・公共施設等における構内電気設備工事が中心です。
【電気工事業の主な対象工事の例】
・屋内配線工事(住宅・事務所・店舗等の電気配線の新設・増設・改修)
・照明設備工事(LED照明・蛍光灯・ダウンライト等の設置)
・コンセント・スイッチ工事
・分電盤・配電盤の設置・交換工事
・動力設備工事(工場・厨房等の動力配線)
・外構・屋外照明・防犯灯設置工事
・幹線工事(高圧受電設備からの引込み配線等)
・発電設備工事(非常用発電機の設置等)
・変電設備工事(キュービクル式変電設備の設置等)
・太陽光発電設備工事(パネル〜パワーコンディショナー〜分電盤の電気接続)
・電気自動車(EV)充電設備設置工事
・防犯カメラ・インターホン等の弱電工事(電気工事の付随工事として行う場合)
電気工事業は、建設工事の中でも感電・漏電・火災などの重大事故に直結しうる業種であることから、建設業法だけでなく電気工事士法・電気工事業法による規制が重なって適用されます。この「二重規制」の構造を理解することが、許可取得において最も重要なポイントです。
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■ 最重要!「建設業許可」と「電気工事業登録・届出」の違いと両立義務
電気工事業においては、建設業法に基づく「建設業許可」と、電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)に基づく「電気工事業登録・届出」という2つの制度が存在します。これが電気工事業の制度的な複雑さの根本です。
【建設業許可(電気工事業)とは】
・根拠法:建設業法
・必要となる場面:1件の請負代金が500万円以上(税込)の電気工事を請け負う場合
・所管官庁(大阪府の場合):大阪府(知事許可)または国土交通省近畿地方整備局(大臣許可)
【電気工事業登録・届出とは】
・根拠法:電気工事業法
・必要となる場面:一般用電気工作物または自家用電気工作物に係る電気工事を業として行う場合(金額にかかわらず必要)
・所管官庁:都道府県(知事登録)または経済産業省(大臣登録)
【建設業許可を取得すれば登録は不要?→ 間違いです】
「建設業許可(電気工事業)を取得すれば、電気工事業の登録は不要になる」と誤解している事業者が非常に多くいます。しかし、これは正確ではありません。
建設業許可(電気工事業)を取得した事業者は、電気工事業の「登録」(電気工事業法第3条)に代えて、「みなし登録電気工事業者としての届出」(電気工事業法第34条)を行わなければなりません。許可を取得したからといって届出手続きが自動的に完了するわけではなく、改めて大阪府(または近畿経済産業局)への届出が必要です。
この届出を怠った場合、電気工事業法第36条第1号に基づき「1年以下の懲役または10万円以下の罰金(またはその両方)」という罰則の対象となります。また、届出なしで行った電気工事業者のもとでの実務経験は、専任技術者の実務経験として認められないという重大なデメリットも生じます。
【みなし登録電気工事業者の届出に必要な主な要件】
①営業所ごとに「主任電気工事士」を置くこと
・第一種電気工事士免状取得者、または
・第二種電気工事士免状取得後に3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士
②営業所ごとに、経済産業省令で定める器具(絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗・交流電圧測定可能な計測器、低圧検電器、高圧検電器等)を備えること
なお、建設業許可の更新後は改めてみなし登録の変更届出が必要です。建設業許可の更新=みなし登録届出の更新にはならない点にも注意が必要です。
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■ 建設業許可が必要となるケース
電気工事業において、建設業の許可が必要となるのは以下の場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の電気工事
500万円未満の「軽微な工事」であれば、建設業許可なしでの施工が法律上可能ですが、電気工事業登録(またはみなし登録届出)は金額にかかわらず必要です。
近年は太陽光発電設備の設置工事やEV充電設備の設置工事、大型商業施設・マンション等の電気設備工事など、500万円を超える電気工事の受注機会が増えています。また、元請ゼネコンや大手建設会社から下請として電気工事を受注する際に「建設業許可(電気工事業)を持っていること」を条件にされるケースも増加しており、許可の有無が事業の継続・拡大に直結します。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
2020年10月の建設業法改正により要件が緩和され、以前より多様な経歴での対応が可能となっています。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること(★電気工事業は指定建設業)
電気工事業は「指定建設業7業種」のひとつです。特定建設業の専任技術者については、実務経験のみでは要件を満たすことができず、原則として1級の国家資格が必要です(詳しくは次章で解説)。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
電気工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ 電気工事業の専任技術者要件(指定建設業のルールに注意)
電気工事業は「指定建設業7業種」のひとつであり、専任技術者の要件に他業種とは異なる厳しいルールが適用されます。特に特定建設業の専任技術者については、「実務経験のみ」では絶対に要件を満たせないという点が、この業種最大のポイントです。
さらに電気工事業特有の規制として、「電気工事士の資格を持たない無資格者の実務経験は、専任技術者の実務経験としてカウントできない」という重要な制限があります。電気工事士法上、無資格者は電気工事に従事することが禁止されているため、無資格者が実際に電気工事に携わっていたとしても、その経験は建設業法上の「実務経験」として認められません。
また、実務経験を証明するためには、その経験を積んだ事業者が「電気工事業登録(またはみなし登録届出)をしていた業者」であることが必要です。無登録業者のもとでの実務経験は算入できません。
【一般建設業許可の専任技術者】
一般建設業許可を受けようとする場合、電気工事業の専任技術者は次のいずれかの要件を満たす必要があります。
ルート①:国家資格による方法
以下の国家資格のいずれかを保有している者が該当します。
・1級電気工事施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級電気工事施工管理技士
・第一種電気工事士
・第二種電気工事士(免状取得後3年以上の実務経験が必要)
・技術士(電気電子部門・総合技術監理「電気電子」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設-鋼構造及びコンクリート」)(特定建設業の専任技術者も可)
第二種電気工事士は免状取得後3年以上の実務経験が追加で必要になる点に注意が必要です。この「3年以上の実務経験」は電気工事業登録または届出をしている業者のもとでの経験であることが必要で、無登録業者でのものはカウントされません。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
電気工学または電気通信工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
ただし前述のとおり、電気工事士の資格を持たない状態での電気工事の実務経験は算入できません。学歴要件を満たしている場合も、電気工事士資格の取得前の実務経験は算入されないため、実質的には「電気工事士資格取得後」の経験期間で要件を充足することになります。
ルート③:実務経験のみによる方法
・電気工事業に関して10年以上の実務経験を有する者(ただし電気工事士資格取得後の経験に限る)
電気工事士の資格取得後から10年以上の実務経験が必要です。実務経験の証明期間中、ずっと電気工事業登録(またはみなし登録届出)をしている業者のもとでの経験であることも求められます。
【特定建設業許可の専任技術者(★指定建設業のため実務経験ルートは不可)】
電気工事業は「指定建設業」に該当するため、特定建設業の専任技術者は実務経験のみでは要件を満たすことができません。原則として以下の1級国家資格が必要です。
・1級電気工事施工管理技士
・技術士(電気電子部門・総合技術監理「電気電子」)
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設-鋼構造及びコンクリート」)
「第一種電気工事士を持っているから特定建設業の専任技術者になれる」と思っていらっしゃる方は注意が必要です。第一種電気工事士は一般建設業の専任技術者にはなれますが、特定建設業の専任技術者にはなれません。特定建設業の許可を目指すなら、「1級電気工事施工管理技士」または「技術士(電気電子部門等)」の取得が実質的に必要です。
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■ 大阪府で電気工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内で電気工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを7つ厳選してお伝えします。
【1】建設業許可取得後も「みなし登録届出」を必ず行う
建設業許可(電気工事業)を取得したからといって、電気工事業法上の届出手続きが自動完了するわけではありません。許可取得後、速やかに大阪府(府内のみ営業する場合)または近畿経済産業局(複数都道府県で営業する場合)への「みなし登録電気工事業者の届出」を行う必要があります。この届出を怠ると罰則の対象になるだけでなく、みなし登録をしていない期間中に従業員が積んだ実務経験が後の許可申請等に使えなくなるリスクもあります。
【2】無資格者の実務経験は専任技術者の要件に算入できない
「長年電気工事現場で働いてきたが電気工事士の資格は持っていない。実務経験10年があれば専任技術者になれるか」というご相談をよくいただきます。しかし電気工事業では、電気工事士資格を持たない無資格者の実務経験は、一切算入できません。資格取得前の経験がいくら長くても、専任技術者の要件を満たすことはできないのです。これは電気工事業特有の制約であり、他の多くの業種とは根本的に異なる点です。
【3】第一種電気工事士で一般建設業は取得できるが、特定建設業は不可
第一種電気工事士を保有していれば、一般建設業の専任技術者になることはできます。しかし特定建設業の専任技術者には、電気工事業が指定建設業であるため1級電気工事施工管理技士または技術士(電気電子部門等)が必要です。将来的に特定建設業許可を目指すのであれば、早い段階から1級電気工事施工管理技士の取得を計画することをおすすめします。
【4】第二種電気工事士は免状交付後3年の実務経験が別途必要
第二種電気工事士の資格を持っていても、免状交付後に3年以上の実務経験がなければ一般建設業の専任技術者になれません。また、この3年の経験は電気工事業の登録または届出をしている事業者のもとでの経験であることが必要です。無登録業者での経験はカウントされないため、勤務先が適正に登録・届出を行っているかの確認も重要です。
【5】実務経験証明書に記載する工事は「電気工事業者のもとでの経験」に限る
大阪府への建設業許可申請において実務経験ルートを使う場合、実務経験証明書(様式第9号)に記載した各工事について裏付け資料(工事請負契約書・注文書・請求書等)の提出が必要です。大阪府の場合は請求書での証明が認められるケースもありますが、証明者(旧勤務先等)が電気工事業の登録または届出をしていた業者であることが大前提です。以前の勤務先が無登録であった場合は、その期間の経験を算入できないことになりますので注意が必要です。
【6】電気工事施工管理技士と電気工事士は別制度
「電気工事施工管理技士(1級・2級)」は建設業法に基づく国家資格であり、主に建設業許可の専任技術者や工事現場の監理技術者・主任技術者として使われます。一方「電気工事士(第一種・第二種)」は電気工事士法に基づく国家資格であり、電気工事に直接従事するための免許です。この2つは別制度ですが、電気工事業においてはいずれも重要な役割を果たします。「電気工事施工管理技士さえ持っていれば電気工事ができる」という誤解も散見されますので、ご注意ください。実際に電気工事に従事するためには電気工事士資格が必要です。
【7】建設業許可の有効期間と各種届出管理を徹底する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。また毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が必要であり、専任技術者・役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。さらに建設業許可の更新後はみなし登録の変更届出も忘れずに行う必要があります。電気工事業は建設業法と電気工事業法の両方の管理が必要なため、他業種よりも届出管理の重要性が高いといえます。
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■ まとめ
電気工事業の建設業許可は、29業種の中でも特に複雑な制度設計を持つ業種です。「指定建設業」であるため特定建設業の専任技術者には1級電気工事施工管理技士等の1級資格が原則必要であること、電気工事士資格を持たない無資格者の実務経験は専任技術者の要件に算入できないこと、建設業許可取得後も電気工事業法に基づくみなし登録届出を別途行わなければならないこと——この3点が、電気工事業の許可取得において他業種と大きく異なる重要ポイントです。
大阪府で電気工事業の許可を取得するには、これら特有のルールをしっかり理解したうえで申請準備を進めることが不可欠です。誤った理解のまま手続きを進めると、許可が取得できないだけでなく、法令違反のリスクも生じます。
「第一種電気工事士を持っているが特定建設業の許可が取れるか確認したい」「みなし登録届出をまだしていないが急いで手続きしたい」「1級電気工事施工管理技士の資格者がいないが特定建設業を取得したい」——どのようなご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士に早めにご相談ください。
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■ お問い合わせ・ご相談
アドバンスリンク行政書士事務所では、大阪府内の建設業許可(電気工事業をはじめ全29業種)に関する申請手続きを、要件確認・書類収集・申請書作成から提出・アフターフォローまでトータルでサポートしております。電気工事業については、建設業許可申請と同時にみなし登録電気工事業者の届出手続きも一括してご依頼いただけます。
「第二種電気工事士しかいないが一般建設業の許可は取れるか確認したい」「みなし登録届出をまだしていないので急いで対応したい」「将来的に特定建設業を目指して1級資格取得のスケジュールを相談したい」「電気工事業と電気通信工事業を同時に申請したい」「許可取得後の決算変更届・更新申請もまとめてお任せしたい」——どのような段階のご相談でも構いません。建設業許可を専門とする行政書士が、大阪府の審査事情に精通した実践的なアドバイスを提供いたします。
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