【大阪の建設業許可】水道施設工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士が徹底解説【管工事業・土木一式工事業との区分を完全解説】

■ はじめに

「浄水場や配水場の設備工事を手がけているが、建設業許可が必要になった」「上下水道に関する工事を受注しているが、水道施設工事業の許可が必要なのか、それとも管工事業の許可なのか、判断が難しい」「管工事業の許可は持っているが、浄水場内の処理設備工事も受注したい——別途水道施設工事業の許可が必要か」——大阪府内の上下水道工事業者の方から、このようなご相談をいただきます。

建設業の許可は全29業種に分類されており、「水道施設工事業」は上水道等の取水・浄水・配水施設や下水処理場内の処理設備を築造・設置する専門工事業種です。社会インフラとして最も重要な「水」に関わる施設工事を担う業種として、国・地方公共団体が発注する公共工事の中でも大きな比重を占めています。

この業種において特に重要なのは「水道施設工事業・管工事業・土木一式工事業の3業種区分」です。いずれも「水に関わる工事」ですが、「処理場・施設そのものを築造する工事(水道施設工事業)」「敷地内・建物内の配管工事(管工事業)」「公道下の幹線配管・下水処理場の敷地造成(土木一式工事業)」という整理が国土交通省のガイドラインで明確に示されています。この区分を正確に理解することが、許可取得の最重要ポイントです。

本記事では、大阪府で水道施設工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、対象工事の全体像、管工事業・土木一式工事業との工事区分の考え方、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート、そして実務上の重要な注意点まで、建設業許可を専門とする行政書士の視点から丁寧に解説します。

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■ 水道施設工事業とは

水道施設工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、水道施設工事とは「上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事または公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事」とされています。

キーワードは「施設を築造する」「処理設備を設置する」です。水道施設工事業は「水を処理・供給するための施設そのものを建設する」という大規模な工事を対象としており、日常的な配管工事とは規模・性格が大きく異なります。

【水道施設工事業の主な対象工事の例示(国交省ガイドラインより)】

・取水施設工事
——河川・地下水・ダム等から飲料水・工業用水を取り入れるための取水施設(取水塔・取水ゲート・取水管渠等)を築造する工事。大阪府内では淀川・大阪湾等からの取水施設整備工事がこれに該当する。

・浄水施設工事
——取り入れた原水を飲料水・工業用水に浄化するための浄水場(沈殿池・ろ過池・消毒設備・送水ポンプ設備等)を築造・設置する工事。浄水場の新設・改修工事が主な対象。

・配水施設工事
——浄化した水を各地域・各施設に配る配水池・配水塔・加圧ポンプ場等の施設を築造・設置する工事。配水管の幹線を含む配水システム全体を構築する工事も含む。

・下水処理設備工事
——公共下水道または流域下水道の処理場内に汚水を処理するための設備(一次処理・二次処理・汚泥処理設備・脱水機等)を設置する工事。下水処理場内の機械・電気・管の設備を含む複合的な施設工事。

これらの工事はいずれも「水の取水・浄水・配水・処理に関するインフラ施設そのものを建設する」という特徴を持ち、建設規模・事業費が数億円〜数十億円規模に及ぶことが多い大型公共工事です。

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■ 最重要!水道施設工事業・管工事業・土木一式工事業の3業種区分

上下水道に関わる工事は「水道施設工事業」「管工事業」「土木一式工事業」の3業種にまたがります。国土交通省の業種区分ガイドライン(H29.11.10改正)は、次のように明確に区分しています。

【3業種の区分一覧】

《水道施設工事業》に該当するもの
・上水道・工業用水道の取水施設(取水塔・取水ゲート等)を築造する工事
・浄水場(沈殿池・ろ過池・消毒設備・ポンプ設備等)を築造・設置する工事
・配水施設(配水池・配水塔・加圧ポンプ場等)を築造する工事
・公共下水道・流域下水道の処理場内の処理設備を設置する工事

《管工事業》に該当するもの
・家屋その他の施設の敷地内における給排水配管工事
・上水道等の配水小管を設置する工事(配水幹線ではなく、各家庭・施設への分岐配管)
・建物内の給排水設備・衛生設備工事

《土木一式工事業》に該当するもの
・公道下等の下水道の配管工事(公共下水道の幹線となる汚水管渠・雨水管渠の埋設)
・下水処理場自体の敷地造成工事(処理場の土地を造成する工事)
・都市の大規模な水道・下水道の幹線を敷設する土木工事

【わかりやすいまとめ方】

・「浄水場・配水池・下水処理場内の施設・設備を建設する」 → 水道施設工事業
・「建物・施設の敷地内の給排水配管工事」 → 管工事業
・「公道の地下に幹線配管を埋設する」「処理場の敷地を造成する」 → 土木一式工事業

30年の許可申請経験の中で、この3業種の区分は申請者が最も迷うポイントのひとつです。「管工事業の許可を持っているから浄水場内の処理設備工事も受注できる」という誤解が最も多く、これは完全な誤りです。浄水場・下水処理場内の設備を築造・設置する工事は水道施設工事業の許可が必要です。

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■ 建設業許可が必要となるケース

水道施設工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業許可が必要となるのは以下の場合です。

・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事

水道施設工事は、浄水場・配水池・下水処理場等の公共インフラ施設の建設工事であり、1件当たりの工事規模が数千万円〜数十億円に及ぶことが一般的です。500万円未満の「軽微な工事」として許可なしで施工できるケースは、設備の一部改修や小規模な補修工事等に限られます。

大阪府内では、老朽化した水道施設・下水道処理施設の改修更新工事が継続的に発注されており、大阪市水道局・大阪府下各市町村の発注工事への参加には建設業許可(水道施設工事業)の取得が事実上の前提条件です。

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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件

建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること

法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。

・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと

2020年10月の建設業法改正により要件が緩和されており、以前より多様な経歴での対応が可能となっています。

【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること

水道施設工事業は「指定建設業7業種」(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)には該当しないため、一般建設業・特定建設業ともに実務経験ルートが活用できます。ただし、専任技術者になれる国家資格の種類が比較的限られており、多くの事業者が実務経験ルートまたは技術士(上下水道部門等)資格で対応しています(詳しくは次章で解説)。

【要件3】誠実性があること

申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。

【要件4】財産的基礎等があること

一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること

特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること

水道施設工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。大型の水道施設工事では元請として発注する金額が5,000万円を超えることが多く、特定建設業許可の取得が必要になるケースが多くなります。

【要件5】欠格要件に該当しないこと

申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。

・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など

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■ 水道施設工事業の専任技術者要件

水道施設工事業は指定建設業に該当しないため、一般建設業・特定建設業ともに実務経験ルートが活用できます。専任技術者になれる国家資格の中心は技術士(上下水道部門・衛生工学部門)および1級土木施工管理技士です。

【一般建設業許可の専任技術者】

ルート①:国家資格による方法

以下のいずれかを保有している者が該当します。

・1級土木施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級土木施工管理技士(種別:土木)
・技術士(上下水道部門「上水道及び工業用水道」・総合技術監理「上下水道-上水道及び工業用水道」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(上下水道部門「下水道」・総合技術監理「上下水道-下水道」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(衛生工学部門「水質管理」・総合技術監理「衛生工学-水質管理」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(衛生工学部門「廃棄物管理」・総合技術監理「衛生工学-廃棄物管理」)(特定建設業の専任技術者も可)

水道施設工事業の専任技術者資格の中で最も汎用性が高いのは「1級土木施工管理技士」です。この資格は水道施設工事業のほかにも、土木一式工事業・とび・土工・コンクリート工事業・石工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・しゅんせつ工事業・塗装工事業・解体工事業等でも専任技術者を兼任できる多目的資格です。

技術士(上下水道部門「上水道及び工業用水道」)・技術士(衛生工学部門「水質管理」等)は、水道施設工事の専門性を反映した資格であり、一般・特定の両方に対応できますが、技術士試験は最難関の国家試験であることを踏まえると、実務上は1級土木施工管理技士または10年の実務経験ルートを活用するケースが主流です。

ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法

土木工学または衛生工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。

・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験

水道施設工事業の指定学科は「土木工学または衛生工学」の2分野です。土木工学系(建築土木科・社会基盤工学科等)または衛生工学系(環境工学・衛生工学科等)の学校を卒業した方は、このルートを活用できる可能性があります。

ルート③:実務経験のみによる方法

・水道施設工事業に関して10年以上の実務経験を有する者

資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、水道施設工事業に関して10年以上の実務経験があれば一般建設業の専任技術者になることができます。水道・下水道施設の工事に長年従事してきた技術者・施工管理者の方に活用しやすいルートです。

なお、緩和措置として、水道施設工事業の実務経験が8年を超えており、かつ他の建設業種の実務経験を合わせた合計が12年以上ある場合にも、専任技術者として認められるケースがあります。

【特定建設業許可の専任技術者(実務経験ルートも可能)】

水道施設工事業は指定建設業に該当しないため、特定建設業の専任技術者についても以下のいずれかを満たせば足ります。

・1級土木施工管理技士(特定建設業専任技術者として認められる国家資格)
・技術士(上下水道部門・衛生工学部門等)(特定建設業専任技術者として認められる国家資格)
・一般建設業の専任技術者要件を満たす者であって、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の水道施設工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有する者

指定建設業と異なり、実務経験ルートで特定建設業の専任技術者になれるルートが確保されています。大型の浄水場改修工事や下水処理場設備工事の元請実績がある事業者は、実務経験ルートで特定建設業の取得が可能です。

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■ 大阪府で水道施設工事業の許可を取得する際の注意点

大阪府内で水道施設工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを7つ厳選してお伝えします。

【1】「管工事業の許可で浄水場内の工事も対応できる」は誤解
実務上最も多い誤解です。管工事業の許可で施工できるのは「家屋や施設の敷地内の配管工事・配水小管の配置工事」であり、「浄水場・配水池・下水処理場内の設備を築造・設置する工事」は水道施設工事業の許可が必要です。この区分を誤解したまま受注すると無許可営業(建設業法違反)となります。水道施設工事と管工事の両方を手がける事業者は、両業種の許可を取得することが必要です。

【2】3業種の区分を図で整理して理解する
「水道施設工事業(処理場・施設の建設)」「管工事業(敷地内配管)」「土木一式工事業(公道下幹線・敷地造成)」という3業種の区分は、自社が担当する工事の「場所」と「目的」を整理することで明確になります。申請前に自社工事のどの部分がどの業種に該当するかを行政書士とともに整理しておくことをおすすめします。

【3】1級土木施工管理技士は水道施設工事業と他業種の同時取得に最適
1級土木施工管理技士を保有する技術者がいれば、水道施設工事業だけでなく土木一式工事業・とび・土工・コンクリート工事業等、水道施設工事と関連性の高い複数業種の専任技術者を1人で兼任できます。水道・下水道工事を主力とする事業者は、1級土木施工管理技士の取得を最優先で検討することをおすすめします。

【4】大阪府・大阪市の老朽水道施設改修工事への参加を見据えた許可取得を
大阪府・大阪市・各市区町村では、高度経済成長期に整備された水道・下水道施設が老朽化を迎えており、更新・改修工事の発注が継続的に増加しています。これらの公共工事への参加には建設業許可(水道施設工事業)の取得と経営事項審査(経審)への登録が事実上必要です。許可取得後は速やかに経審を受け、入札参加資格申請を行うことが公共工事受注への近道です。

【5】実務経験10年の証明書類は「水道施設工事」と明確な記載が必要
実務経験ルートで申請する場合、10年分の工事実績を証明する書類において「浄水場改修工事」「配水池設置工事」「下水処理設備工事」など、水道施設工事業に該当することが明確な工事名称の記載が必要です。「土木工事一式」「設備工事」の記載のみでは認められない場合があります。

【6】水道施設工事業と管工事業の同時取得が実務上効率的
水道施設工事業と管工事業を合わせて取得することで、浄水場・下水処理場内の設備工事(水道施設工事業)から、その施設に接続する敷地内配管工事(管工事業)まで一括して受注できるようになります。1級土木施工管理技士がいれば水道施設工事業の特定建設業専任技術者になれますが、管工事業の特定建設業には別途1級管工事施工管理技士が必要です。

【7】許可取得後の決算変更届・更新申請・変更届を徹底管理する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、専任技術者・役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。公共工事入札参加資格を維持するうえでも、建設業許可の適正な維持管理が不可欠です。

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■ まとめ

水道施設工事業は、上水道・工業用水道の取水・浄水・配水施設や公共下水道・流域下水道の処理設備を築造・設置する専門工事業種です。「浄水場・配水池・下水処理場内の設備を建設する工事=水道施設工事業」「敷地内の配管工事=管工事業」「公道下幹線の配管・処理場の敷地造成=土木一式工事業」という3業種の区分の正確な理解が、許可取得において最も重要なポイントです。

専任技術者については、1級土木施工管理技士が最も汎用性が高く、水道施設工事業と関連する複数業種の専任技術者を兼任できるため、優先的に取得を目指したい資格です。技術士(上下水道部門・衛生工学部門)も一般・特定の両方に対応できますが、取得難易度を踏まえると、1級土木施工管理技士または10年実務経験ルートが現実的な選択となります。

「自社の工事が水道施設工事業・管工事業・土木一式工事業のどれに該当するか確認したい」「浄水場の改修工事を受注したいが必要な許可業種を整理したい」「1級土木施工管理技士を活用して複数業種を同時に申請したい」——どのようなご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士にお気軽にご相談ください。

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