【大阪の建設業許可】さく井工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士が徹底解説【井戸掘り・温泉掘削・地熱工事まで対象】

■ はじめに
「井戸工事(掘削工事)を専門にしているが、500万円を超える案件が出てきたので建設業許可を取りたい」「温泉や地熱エネルギー開発のためのボーリング工事は、さく井工事業の許可が必要か、それともとび・土工工事業の許可か」「さく井の技能検定を持っているが、それで専任技術者になれるのか」——大阪府内のさく井工事業者・地盤調査業者・ボーリング工事業者の方から、このようなご相談をいただきます。
建設業の許可は全29業種に分類されており、「さく井工事業」はさく井機械等を用いて地中を掘削し、井戸・観測孔・揚水設備等を設置する専門工事業種です。生活用水・農業用水・工業用水の供給源となる井戸の掘削から、温泉掘削・地熱発電用井戸・地盤調査用ボーリングまで、地下資源・地下水の開発に関わる幅広い工事をカバーしています。
この業種において特に注意が必要なのは3つのポイントです。第一に「地下水の採取・利用が目的の掘削工事(さく井工事業)と単純な掘削・土砂搬出(とび・土工・コンクリート工事業)の業種区分」。第二に「さく井工事業の専任技術者になれる国家資格は技術士(上下水道部門等)のみで、多くの事業者が実務経験10年または技能検定ルートを使う」こと。第三に「指定学科に『鉱山学』が含まれる」という、さく井工事業特有の制度設計——この3点を正確に理解することが許可取得の鍵です。
本記事では、大阪府でさく井工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、対象工事の全体像、隣接業種との工事区分、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート、そして実務上の重要な注意点まで、建設業許可を専門とする行政書士の視点から丁寧に解説します。
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■ さく井工事業とは
さく井工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、さく井工事とは「さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事またはこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事」とされています。
「さく孔(さっこう)」とは機械で地中に孔(穴)を開けること、「さく井(さくせい)」とは地中に井戸を掘削することです。いずれも地中を机掘削して目的の地層・地下水・地熱等に到達させる工事であり、専用のロータリー式・パーカッション式等のさく井機械・ボーリングマシンを使用します。
【さく井工事業の主な対象工事の例示(国交省ガイドラインより)】
・さく井工事
——生活用水・農業用水・工業用水等を供給するための井戸(地下水取水井)を掘削する工事。深井戸(管井戸)・浅井戸の掘削工事。大阪府内の農村部・工業地帯での地下水取水用井戸の掘削工事。
・さく孔工事
——ボーリングマシン等を使用して地中に孔を掘削する工事(地盤調査・地質調査を伴う工事で建設工事として行われるもの)。
・揚水設備設置工事
——掘削した井戸に揚水ポンプ・水中ポンプ・ポンプ制御盤等の揚水設備を設置する工事。さく井工事に付随して行われることが多い。
・温泉掘削工事
——温泉地・観光施設等で温泉源を求めて地中を掘削する工事。温泉法に基づく許可と合わせて建設業許可(さく井工事業)が必要。
・観測孔設置工事
——地下水位・水質・地盤状況等を観測するための観測孔(モニタリングウェル)を設置する工事。環境調査・地盤沈下対策等に使用。
・集水設備工事
——地下水を集水するための集水管・集水暗渠等を設置する工事。
・地熱開発井工事
——地熱発電所建設のために地下の熱源(蒸気・熱水)を取得するための地熱井を掘削する工事。
・地盤調査のためのボーリング工事
——建設工事の前段階として地盤状況を把握するための調査ボーリング(建設工事として行われるものに限る)。
これらの工事はいずれも「さく井機械等を使って地中を掘削し、地下水・温泉・地熱等を取り出すための設備を設置する」という共通の特徴を持ちます。
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■ 重要!隣接業種との工事区分の考え方
さく井工事業は「とび・土工・コンクリート工事業」「管工事業」と工事区分が紛らわしく、業種の取り違えが生じやすいポイントがあります。
【1】さく井工事業と「とび・土工・コンクリート工事業」の区分(最重要)
地中を掘削する工事でも「何のために掘るか」で業種が変わります。国土交通省の業種区分ガイドラインに基づく区分は次のとおりです。
《さく井工事業》に該当するもの
・地下水・温泉・地熱等を取り出すことを目的として地中を掘削する工事
・さく井機械(ロータリー式・パーカッション式等)を使用して行う掘削工事
・掘削した孔に揚水設備・観測設備等を設置する工事
《とび・土工・コンクリート工事業》に該当するもの
・建設工事の基礎工事・土砂搬出・地盤改良を目的とした掘削工事
・単純な掘削・盛土工事(地下水・温泉の採取が目的でないもの)
・グラウト注入を目的としたボーリング工事
判断の核心は「地下水・温泉・地熱等の採取・利用が目的かどうか」です。さく井機械を使って地下水取水用の井戸を掘削する工事はさく井工事業ですが、基礎工事の一環として地下を掘削する工事はとび・土工・コンクリート工事業に区分されます。
【2】地盤調査のボーリングは建設工事に該当するかを確認する
地盤調査を目的としたボーリング工事(地質調査・ボーリングのみ)は、「建設工事」と「委託業務(役務提供)」の境界が問題になる場合があります。建設工事に付随する調査ボーリングは建設業の対象ですが、純粋な地盤調査・地質調査のみを行う役務提供は建設工事に該当せず、建設業許可の対象外となる場合があります。
【3】揚水設備の配管工事と管工事業の区分
さく井工事に伴って揚水した地下水を建物・施設に送る配管工事(給水管の接続・配管工事)は管工事業に区分されます。さく井工事業の許可だけでは、地下水を取り出した後の配管工事を受注することはできません。井戸の掘削から配管まで一括受注する事業者は、さく井工事業と管工事業の両方の許可を取得しておくことが効率的です。
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■ 建設業許可が必要となるケース
さく井工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業許可が必要となるのは以下の場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事
井戸の掘削工事は、掘削深度・地質条件・機械設備の使用により費用が大きく変動しますが、深井戸(管井戸)の掘削工事は機械設備の動員費・掘削費・揚水設備設置費を含めると500万円を超えるケースが一般的です。
温泉掘削工事・地熱開発井工事・大型産業用水井戸等では数千万円〜数億円規模の工事になることが多く、ほぼすべてのケースで建設業許可が必要です。また、国・大阪府・市区町村が発注する公共の水源開発・地下水調査等の工事への参加にも建設業許可の取得が事実上の前提条件となります。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
2020年10月の建設業法改正により要件が緩和されており、以前より多様な経歴での対応が可能となっています。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること
さく井工事業は「指定建設業7業種」(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)には該当しないため、一般建設業・特定建設業ともに実務経験ルートが活用できます(詳しくは次章で解説)。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
さく井工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ さく井工事業の専任技術者要件(「鉱山学」が指定学科に含まれる特徴的な業種)
さく井工事業は指定建設業に該当しないため、一般建設業・特定建設業ともに実務経験ルートが活用できます。また、専任技術者になれる国家資格は技術士(上下水道部門等)のみと限られており、実務上は技能検定「さく井」または10年の実務経験ルートを使う事業者が多くなっています。
また、指定学科に「鉱山学」が含まれる点は29業種の中でも珍しく、さく井工事業の専門性を反映した制度設計といえます。
【一般建設業許可の専任技術者】
ルート①:国家資格・技能検定による方法
以下のいずれかを保有している者が該当します。
・技術士(上下水道部門「上水道及び工業用水道」・総合技術監理「上下水道-上水道及び工業用水道」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技能検定「さく井」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
・地すべり防止工事士(登録後1年以上の実務経験が必要)
さく井工事業で使える国家資格は「技術士(上下水道部門「上水道及び工業用水道」等)」のみですが、技術士試験は日本最難関クラスの国家試験のひとつであり、取得が現実的ではない事業者も多くいます。
そのため、さく井工事業では技能検定「さく井」(1・2級)が最も身近で取得しやすい専任技術者資格として活用されています。さく井職人・ボーリング技術者の方が技能検定を取得することで、実務経験証明書類の準備を省略できます。
「地すべり防止工事士」は、地すべり防止に関する技術者資格であり、登録後1年以上の実務経験があればさく井工事業の専任技術者にもなれます。とび・土工・コンクリート工事業や土木一式工事業でも活用できる資格です。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
土木工学、鉱山学、機械工学または衛生工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
さく井工事業の指定学科は「土木工学・鉱山学・機械工学・衛生工学」の4分野です。「鉱山学」は29業種の中でもさく井工事業に特有の指定学科であり、地下資源・鉱山開発に関連する学科(資源工学・地球工学・採鉱工学等を含む)が対象となります。温泉掘削・地熱開発等を手がける事業者の技術者で鉱山学系の学校を卒業している方は、このルートを活用できる可能性があります。
ルート③:実務経験のみによる方法
・さく井工事業に関して10年以上の実務経験を有する者
資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、さく井工事業に関して10年以上の実務経験があれば一般建設業の専任技術者になることができます。さく井工事の現場で長年経験を積んできた技術者・職人の方に最も活用しやすいルートです。
【特定建設業許可の専任技術者(実務経験ルートも可能)】
さく井工事業は指定建設業に該当しないため、特定建設業の専任技術者についても以下のいずれかを満たせば足ります。
・技術士(上下水道部門「上水道及び工業用水道」等)(特定建設業専任技術者として認められる国家資格)
・一般建設業の専任技術者要件を満たす者であって、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上のさく井工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有する者
指定建設業(造園工事業等)と異なり、実務経験ルートで特定建設業の専任技術者になれるルートが確保されています。ただし、技術士(上下水道部門)は非常に難易度が高い国家試験であることを踏まえると、実務上は指導監督的実務経験ルートを活用するケースが多くなります。
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■ 大阪府でさく井工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内でさく井工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを7つ厳選してお伝えします。
【1】「地下水採取が目的の掘削=さく井工事業、単純掘削=とび・土工工事業」の区分を明確にする
本記事で最も強調したいポイントです。「地中を掘削する工事」であっても、目的によって業種が変わります。地下水・温泉・地熱等の採取を目的とした掘削工事はさく井工事業ですが、基礎工事の一環や土砂搬出を目的とした掘削工事はとび・土工・コンクリート工事業に区分されます。申請前に自社工事の目的・内容を正確に確認し、適切な業種の許可を選択することが必要です。
【2】技能検定「さく井」2級は合格後3年以上の実務経験が必要
技能検定「さく井」の2級合格者が専任技術者になるには「合格後3年以上の実務経験」が必要です(平成16年4月1日時点で合格していた者は1年以上)。資格取得後すぐに専任技術者になれるわけではないため、申請前に合格年月日と合格後の実務経験期間を必ず確認してください。
【3】地盤調査のボーリングのみでは建設業許可が不要な場合がある
地質調査・地盤調査のみを目的としたボーリング業務は「役務の提供」として扱われ、建設工事に該当しない場合があります。この場合は建設業許可の対象外となりますが、建設工事に付随して行う調査ボーリングや、ボーリング後に揚水設備等を設置する工事は建設工事に該当します。自社業務が建設工事に該当するかどうかを事前に確認することをおすすめします。
【4】温泉掘削工事は温泉法の許可も別途必要
温泉を掘削する工事を行う場合、建設業許可(さく井工事業)とは別に、温泉法に基づく都道府県知事の「温泉の掘削許可」が必要です。大阪府内で温泉掘削工事を受注する場合は、建設業許可と温泉掘削許可の両方を整備する必要があります。
【5】揚水した地下水の配管工事も受注したい場合は管工事業の許可も必要
さく井工事業の許可は「さく井・揚水設備の設置まで」が対象であり、揚水した地下水を建物や施設に供給するための配管工事(給水管の敷設・配管接続)は管工事業の許可が必要です。さく井から配管まで一括で受注したい事業者は、さく井工事業と管工事業の両方の許可を取得しておくことをおすすめします。
【6】実務経験10年の証明書類は「さく井工事」の内容が明確な記載が必要
実務経験ルートで申請する場合、10年分の工事実績を証明する書類において「さく井工事」「井戸掘削工事」「温泉掘削工事」「観測孔設置工事」など、さく井工事業に該当することが明確な工事名称の記載が必要です。「土木工事一式」「地盤調査」の記載のみでは認められない場合があります。
【7】許可取得後の決算変更届・更新申請・変更届を徹底管理する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、専任技術者・役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。これらを怠ると許可が失効するほか、罰則の対象にもなりえます。
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■ まとめ
さく井工事業は、さく井機械等を用いて地中を掘削し、井戸・観測孔・揚水設備等を設置する専門工事業種です。地下水取水井・温泉掘削・地熱開発井・観測孔設置など、地下資源・地下水の開発に関わる幅広い工事を対象とします。
最重要ポイントは「地下水・温泉・地熱の採取が目的の掘削工事=さく井工事業」「単純掘削・土砂搬出が目的=とび・土工・コンクリート工事業」という業種区分の原則です。また、指定学科に「鉱山学」が含まれるという29業種の中で特徴的な制度設計、温泉掘削工事では建設業許可とは別に温泉法の掘削許可も必要という二重の規制にも注意が必要です。
「自社のボーリング工事がさく井工事業に該当するか確認したい」「技能検定さく井2級を持っているが合格後の実務経験が足りているか確認してほしい」「温泉掘削工事を受注したいが温泉法の許可との関係を相談したい」——どのようなご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士にお気軽にご相談ください。
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■ お問い合わせ・ご相談
アドバンスリンク行政書士事務所では、大阪府内の建設業許可(さく井工事業をはじめ全29業種)に関する申請手続きを、要件確認・書類収集・申請書作成から提出・アフターフォローまでトータルでサポートしております。
「井戸掘削工事がさく井工事業に該当するか確認したい」「技能検定さく井を持っているが合格後の実務経験が足りているか確認してほしい」「温泉掘削工事のため建設業許可と温泉法の許可を一括相談したい」「さく井工事業と管工事業を同時に申請したい」「許可取得後の決算変更届・更新申請もまとめてお任せしたい」——どのような段階のご相談でも構いません。建設業許可を専門とする行政書士が、大阪府内の審査事情に精通した実践的なアドバイスを提供いたします。
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