【大阪の建設業許可】電気通信工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士が徹底解説【電気工事業との区分・工事担任者の落とし穴も解説】

■ はじめに
「LAN配線工事や防犯カメラ設置工事を専門にやっているが、500万円を超える工事が出てきたので建設業許可を取りたい」「電話・インターネット・監視カメラ等の通信設備工事は電気工事業の許可で対応できると思っていたが、電気通信工事業の許可が必要と言われた」「工事担任者の資格を持っているが、それだけで専任技術者になれるのか」——大阪府内の電気通信工事業者の方から、このようなご相談をいただきます。
建設業の許可は全29業種に分類されており、「電気通信工事業」は有線・無線の通信設備・情報設備・放送設備・防犯・防災設備等を設置する工事を専門とする業種です。スマートフォン・インターネット・IoT・DX化の普及を背景に、ネットワーク設備工事・防犯カメラ設置工事・放送設備工事の需要が急増しており、大阪府内でも許可取得のご相談が増加している業種のひとつです。
この業種において特に注意が必要なのは3つのポイントです。第一に「電気通信工事業と電気工事業は全く別の業種であり、通信設備の電源工事・照明工事は電気工事業に区分される」という業種区分の原則。第二に「電気通信工事施工管理技士(1級・2級)は平成29年に新設された比較的新しい国家資格であり、取得すれば専任技術者の要件を最も確実に証明できる」こと。第三に「工事担任者・電気通信主任技術者は資格取得後に一定の実務経験(3年または5年)を積まなければ専任技術者になれない」という条件——この3点を正確に理解することが許可取得の鍵です。
本記事では、大阪府で電気通信工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、対象工事の全体像、隣接業種との工事区分の考え方、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート、そして実務上の重要な注意点まで、建設業許可を専門とする行政書士の視点から丁寧に解説します。
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■ 電気通信工事業とは
電気通信工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、電気通信工事とは「有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事」とされています。
「有線・無線・放送・データ通信」と幅広い通信分野をカバーしている点が特徴です。一般的にイメージしやすい電話・インターネット配線工事はもちろん、防犯カメラ・テレビ共同受信・放送設備・LAN配線まで、電気信号を使った通信・情報・放送に関する設備工事が広く対象となります。
【電気通信工事業の主な対象工事の例示(国交省ガイドラインより)】
・電気通信線路設備工事
——電話・インターネット等の有線通信線路(光ファイバーケーブル・メタルケーブル等)の設置・配線工事
・電気通信機械設置工事
——交換機・ルーター・サーバー等の通信機械・情報設備の設置工事。クラウド対応の通信機器・ネットワーク機器の設置も含む
・放送機械設置工事
——テレビ・ラジオ放送設備(アンテナ・送受信設備・スタジオ設備等)の設置工事
・データ通信設備工事
——LAN(構内通信網)設備・WAN・インターネット接続設備の敷設・配線・機器設置工事
・情報制御設備工事
——ビルオートメーション・工場自動化(FA)・PLCシステム等の情報制御設備の設置工事
・TV共同受信設備工事
——マンション・ビル等へのケーブルテレビ・テレビ共同受信設備の設置工事
・監視カメラ設備工事(防犯カメラ)
——防犯・監視目的のカメラシステム・録画設備・モニタリング設備の設置工事。IPカメラ・ネットワークカメラ等の設置を含む
・インターホン設備工事
——マンション・住宅・ビルへのインターホン・オートロックシステムの設置工事
・拡声設備工事
——スピーカー・アンプ・音響設備等の設置工事(音響効果を目的としない館内放送設備等)
・テレメーター設備工事
——河川水位・降雨量等の自動計測・遠隔監視設備の設置工事
スマートフォン・IoT・DXの普及に伴い、上記の工事需要は今後も増加が見込まれます。特に防犯カメラのIP化・ネットワーク化・クラウド化を背景に、防犯カメラ設置工事の需要は大阪府内でも急増しています。
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■ 重要!「電気通信工事業」と「電気工事業」の違い——区分の考え方
電気通信工事業と最も混同されやすい業種が「電気工事業」です。両者はともに「電気」という言葉がつくため混同されやすいですが、対象とする設備・工事内容が根本的に異なります。
【電気工事業との区分(国交省ガイドライン準拠)】
《電気通信工事業》に該当するもの
・電話・インターネット・LAN等の通信ケーブルの配線工事
・ルーター・スイッチ・サーバー等のネットワーク機器の設置工事
・防犯カメラ・監視カメラシステムの設置工事(通信部分)
・テレビアンテナ・共同受信設備の設置工事
・インターホン・オートロックシステムの設置工事
・放送設備・音響設備の設置工事(電気通信設備として設置するもの)
・データセンターのネットワーク設備工事
《電気工事業》に該当するもの(電気通信工事業ではない)
・通信設備・機器への「電源供給工事」(電源コンセント・電源配線の設置)
・照明設備の設置工事
・分電盤・配電盤の設置工事
・動力配線工事
【最重要ポイント——「通信設備の電源工事は電気工事業」】
電気通信工事業と電気工事業の区分で最も注意が必要なのが「通信設備への電源供給工事」の扱いです。防犯カメラ・ルーター・サーバー等の通信設備・機器に電源を供給するためのコンセント設置・電源配線工事は「電気工事業」に区分されます。防犯カメラの映像配線工事(通信ケーブル工事)は電気通信工事業でも、その電源コンセントの設置は電気工事業という整理です。
通信工事と電源工事を一体として受注するケースでは、電気通信工事業と電気工事業の両方の許可が必要になります。大阪府内の電気通信工事業者の方が「電源工事まで一括で受注していたら無許可営業と指摘された」というケースが実際にあります。
【電気通信工事業と消防施設工事業の区分】
火災報知設備・スプリンクラー制御設備等の消防用設備の設置工事は消防施設工事業に区分されます。防犯カメラ(監視カメラ)の設置は電気通信工事業ですが、火災感知器・煙感知器等の消防設備は消防施設工事業という整理です。消防設備と監視カメラを合わせて設置する工事を受注する場合は、電気通信工事業と消防施設工事業の両方の許可が必要なケースがあります。
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■ 建設業許可が必要となるケース
電気通信工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業許可が必要となるのは以下の場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事
住宅への光回線引込工事や小規模なLAN配線工事は500万円未満にとどまることが多いですが、マンション・オフィスビル・商業施設・工場等への大規模なLAN設備工事・監視カメラシステム・放送設備工事・データ通信設備工事では500万円を超えるケースが一般的です。
大阪府内では、大規模オフィスのDX化に伴うネットワーク設備工事、商業施設・公共施設への防犯カメラシステム導入工事、マンションへのオートロック・インターホンシステム更新工事など、電気通信工事の大型案件が増えており、許可取得が受注機会の確保に直結します。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
2020年10月の建設業法改正により要件が緩和されており、以前より多様な経歴での対応が可能となっています。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること
電気通信工事業は「指定建設業7業種」(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)には該当しないため、一般建設業・特定建設業ともに実務経験ルートが活用できます(詳しくは次章で解説)。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
電気通信工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ 電気通信工事業の専任技術者要件(工事担任者・電気通信主任技術者の「落とし穴」に注意)
電気通信工事業は指定建設業に該当しないため、一般建設業・特定建設業ともに実務経験ルートが活用できます。また、平成29年に新設された「電気通信工事施工管理技士(1級・2級)」をはじめ、複数の資格ルートが用意されています。ただし、「工事担任者」「電気通信主任技術者」は資格取得後に一定の実務経験が必要という条件があり、これを見落とすケースが多くあります。
【一般建設業許可の専任技術者】
ルート①:国家資格による方法
以下のいずれかを保有している者が該当します。
・1級電気通信工事施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
——平成29年(2017年)に新設された国家資格。電気通信工事業の「ための」資格として設計されており、専任技術者の最も確実な証明手段。現在受験者が増加中。
・2級電気通信工事施工管理技士
——1級の下位資格。一般建設業の専任技術者として活用できる。
・技術士(電気電子部門・総合技術監理「電気電子」)(特定建設業の専任技術者も可)
・電気通信主任技術者(資格取得後5年以上の実務経験が必要)
——総務省所管の国家資格。「電気通信主任技術者」の資格証を取得しただけでは専任技術者になれない。取得後5年以上の電気通信工事業に関する実務経験が必要。
・工事担任者(第1級アナログ通信・第1級デジタル通信または総合通信の資格者証保有者に限る、かつ資格取得後3年以上の実務経験が必要)
——総務省所管の国家資格。ただし「工事担任者(AI・DD総合種)」等の旧名称の資格証保有者も条件を満たす場合がある。資格証取得後3年以上の実務経験が必要。
・登録電気工事基幹技能者(電気通信工事の基幹技能者として認定された者)
★「工事担任者」「電気通信主任技術者」は取得後の実務経験が別途必要★
工事担任者や電気通信主任技術者は通信業界でよく知られた資格ですが、建設業許可の専任技術者になるためには資格取得後に一定の実務経験が必要です。
・工事担任者(第1級アナログ通信・第1級デジタル通信・総合通信)→ 資格証取得後3年以上の電気通信工事業に関する実務経験が必要
・電気通信主任技術者 → 資格取得後5年以上の電気通信工事業に関する実務経験が必要
「工事担任者の試験に合格したから、すぐに専任技術者になれる」という理解は誤りです。申請前に資格証の取得年月日と合格後の実務経験期間を必ず確認してください。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
電気工学または電気通信工学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
電気通信工事業の指定学科は「電気工学または電気通信工学」です。電気・通信・情報系の学校を卒業した方は、指定学科に該当するかを確認のうえ、実務経験期間が要件を満たすかを検討してください。
ルート③:実務経験のみによる方法
・電気通信工事業に関して10年以上の実務経験を有する者
資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、電気通信工事業に関して10年以上の実務経験があれば一般建設業の専任技術者になることができます。LAN配線・防犯カメラ設置・通信工事の職人・施工管理者として長年経験を積んできた方に活用しやすいルートです。
【特定建設業許可の専任技術者(実務経験ルートも可能)】
電気通信工事業は指定建設業に該当しないため、特定建設業の専任技術者についても以下のいずれかを満たせば足ります。
・1級電気通信工事施工管理技士(特定建設業専任技術者として認められる国家資格)
・技術士(電気電子部門等)(特定建設業専任技術者として認められる国家資格)
・一般建設業の専任技術者要件を満たす者であって、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の電気通信工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有する者
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■ 大阪府で電気通信工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内で電気通信工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを7つ厳選してお伝えします。
【1】「電気通信工事業」と「電気工事業」は完全に別業種
最も多い誤解です。通信ケーブルの配線・ネットワーク機器の設置は電気通信工事業ですが、通信設備への電源コンセント設置・電源配線工事は電気工事業です。「電気のことは全部電気工事業でカバーできる」という思い込みが、電気通信工事業での無許可営業につながるケースが実務上あります。
【2】防犯カメラ・インターホン設置は電気通信工事業
大阪府内でご相談が特に多いのが防犯カメラ・監視カメラシステムの設置工事です。映像配線(通信ケーブル)の設置・録画機器の設置は電気通信工事業の許可が必要です。ただし、防犯カメラ用の電源コンセントの設置は電気工事業の許可が必要なため、電源工事まで一体で受注する場合は両方の許可が必要です。
【3】「工事担任者・電気通信主任技術者」は取得後の実務経験を確認する
工事担任者(第1級アナログ通信・第1級デジタル通信・総合通信)は取得後3年以上、電気通信主任技術者は取得後5年以上の実務経験がなければ専任技術者になれません。資格証の取得年月日と実務経験の開始・終了を確認のうえ、要件を満たしているかを申請前に必ず確認してください。
【4】「1級・2級電気通信工事施工管理技士」の積極的活用を
平成29年に新設された「電気通信工事施工管理技士(1級・2級)」はこの業種のために設計された施工管理技士資格であり、追加の実務経験なしで専任技術者になれます。資格者が増えつつありますが、まだ取得者が少ない業種であるため、早期に取得することで許可取得・経営事項審査の両面で競争力を高めることができます。
【5】消防設備工事との同時取得を検討する
防犯カメラ設置と火災感知器・非常放送設備等の消防設備工事を一体で受注するケースでは、電気通信工事業と消防施設工事業の両方の許可が必要になります。大阪府内の総合設備工事業者は、電気通信工事業・電気工事業・消防施設工事業の3業種をセットで取得しておくことで、設備工事全般をフルカバーできます。
【6】実務経験10年の証明書類は「電気通信工事」と明確な記載が必要
実務経験ルートで申請する場合、10年分の工事実績を証明する書類において「LAN配線工事」「防犯カメラシステム設置工事」「光ファイバー設備工事」「インターホン設備工事」など、電気通信工事業に該当することが明確な工事名称の記載が必要です。「電気工事一式」「設備工事」等の記載のみでは電気通信工事業の実績として認められないケースがあります。
【7】許可取得後の決算変更届・更新申請・変更届を徹底管理する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、専任技術者・役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。これらを怠ると許可が失効するほか、罰則の対象にもなりえます。
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■ まとめ
電気通信工事業は、LAN配線・防犯カメラ・インターホン・テレビ共同受信・放送設備・データ通信設備等の電気通信設備を設置する専門工事業種です。IoT・DX・スマートビル化の波を受けて需要が拡大し続けており、大阪府内でも許可取得のニーズが高まっています。
最重要ポイントは「電気通信工事業と電気工事業は全く別の業種」という区分の原則です。特に「通信設備への電源工事は電気工事業」という点は見落とされやすく、電源工事まで一体で受注する場合は両方の許可が必要です。また、工事担任者・電気通信主任技術者は資格取得後の追加実務経験(3年または5年)が必要という条件も申請前に必ず確認してください。
「防犯カメラ設置工事が電気通信工事業に該当するか確認したい」「工事担任者の資格で専任技術者になれるか診断してほしい」「電気工事業と電気通信工事業を同時に申請したい」「1級電気通信工事施工管理技士の活用方法を相談したい」——どのようなご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士にお気軽にご相談ください。
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■ お問い合わせ・ご相談
アドバンスリンク行政書士事務所では、大阪府内の建設業許可(電気通信工事業をはじめ全29業種)に関する申請手続きを、要件確認・書類収集・申請書作成から提出・アフターフォローまでトータルでサポートしております。
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