【不動産業者必見】専任の宅地建物取引士が退職したらどうなる?設置要件と対応策を行政書士が徹底解説

目次

はじめに

「うちの専任の宅建士が急に辞めることになった。どうすればいい?」

宅建業を営む事業者様からのご相談の中で、特に多いのがこのケースです。専任の宅地建物取引士(以下「専任宅建士」)は、宅建業の免許を維持するうえで欠かせない存在です。しかし、退職・解任・死亡などによって専任宅建士が不在になってしまうと、場合によっては業務の停止を余儀なくされることもあります。

本記事では、専任宅建士の設置要件をおさらいしながら、退職・交代が生じた際の法的義務と対応手順について、行政書士の立場からわかりやすく解説します。大阪府内で宅建業免許を取得・維持されている事業者様はもちろん、これから不動産業で開業を検討されている方にもぜひお読みいただきたい内容です。

1.専任の宅地建物取引士とは?設置が義務づけられている理由

    宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)では、宅建業者に対して、事務所ごとに一定数の「専任の宅地建物取引士」を置くことを義務付けています(宅建業法第15条)。

    専任宅建士とは、宅地建物取引士資格を有する者のうち、その事務所に「常勤」し、かつ「専任」として従事している者のことを指します。資格を持っていれば誰でもよいわけではなく、「常勤性」と「専任性」の両方が求められる点が重要です。

    この制度が設けられている背景には、不動産取引の専門性と公正性を確保するという目的があります。不動産の売買や賃貸の仲介は、消費者にとって人生で最大規模の取引となることも少なくありません。そのような重要な取引を適正に行うために、有資格の専門家が常駐して業務を監督・管理する仕組みが法律によって定められているのです。

    2.専任宅建士の設置要件:何人必要?

    専任宅建士の設置数は、事務所の規模によって異なります。具体的には、以下のルールに従います。

    ■ 設置人数の基準

    事務所に従事する者(従業者)の人数に対して、5分の1以上の割合で専任宅建士を設置する必要があります。

    【例】
    ・従業者が5人以下 → 専任宅建士1人以上
    ・従業者が6〜10人 → 専任宅建士2人以上
    ・従業者が11〜15人 → 専任宅建士3人以上

    なお、端数は切り上げます。従業者6人であれば、5人÷5=1人では不足で、2人以上が必要になります。

    ■ 「従業者」には誰が含まれるか

    ここでいう「従業者」には、代表者(社長)も含まれます。また、正社員だけでなく、パートやアルバイトで宅建業の業務に携わっている人も含まれます。一方で、宅建業に直接関係のない業務のみに従事している人(経理専任の事務員など)は含まれない場合があります。

    ■ 各事務所(支店)ごとに設置が必要

    重要なのは、「会社全体」ではなく「各事務所ごと」に設置要件を満たさなければならない点です。本店に専任宅建士が3人いても、支店に1人もいなければ、その支店は要件を満たしていないことになります。

    3.「専任性」「常勤性」とはどういう意味か

    設置要件を満たすうえで、よく誤解されやすい「専任性」と「常勤性」について説明します。

    ■ 常勤性とは

    「常勤」とは、その事務所の通常の勤務時間を通じて、当該事務所に勤務することを意味します。テレワーク(リモートワーク)については、宅建業法上の「常勤」に該当するかどうかが問題となる場合があります。大阪府においては、担当部署(建築振興課 宅建業免許グループ)の判断基準に従う必要がありますので、テレワーク導入時には事前確認が不可欠です。

    ■ 専任性とは

    「専任」とは、原則として他の法人の代表者や役員・従業者を兼務していないこと、または他の業種の業務に従事していないことを指します。ただし、グループ会社での兼務や、宅建業に関連する業務(不動産管理会社の業務など)については、実態に応じて判断されることがあります。

    ■ よくある問題ケース

    ・他社の専任宅建士として登録されている人を自社の専任宅建士にすることはできない
    ・個人事業主(自営業者)や他の会社の代表者が兼任するのは原則不可
    ・産前産後休暇・育児休業中の者は、専任宅建士としてカウントできない(代替措置が必要)

    4.専任宅建士が退職・不在になったらどうなるか

    専任宅建士が退職・死亡・解任などによって不在になったとき、最も重要なのは「2週間以内に補充しなければならない」という義務です(宅建業法第15条第3項)。

    ■ 2週間以内に補充が必要

    専任宅建士の数が設置要件を下回ったときは、2週間以内に不足を解消しなければなりません。この期間を超えても要件を満たせない場合、宅建業法違反として行政処分(指示処分・業務停止処分)の対象になる可能性があります。

    ■ 変更届の提出義務(30日以内)

    専任宅建士の退職・交代が生じた場合は、免許を受けた行政庁(大阪府の場合は大阪府知事)に対して、変更のあった日から30日以内に「宅地建物取引業者名簿登載事項変更届」を提出しなければなりません(宅建業法第9条)。

    この変更届の提出が遅れたり、漏れたりすると、後述する免許換えや更新の際に受け付けてもらえないケースがあるほか、それ自体が行政指導・処分の対象となることがあります。

    ■ 届出の内容(変更届に記載が必要な事項)

    ・退職した専任宅建士の氏名・変更年月日
    ・新たに就任した専任宅建士の氏名・宅建士登録番号・変更年月日

    なお、新たな専任宅建士が就任する際は、その者自身も「宅地建物取引士資格登録の勤務先変更届」を都道府県知事に提出する必要があります(これは宅建士個人が行う手続きであり、会社が行う変更届とは別の手続きです)。

    5.変更届を怠った場合のリスク

    変更届の提出を忘れてしまった、あるいは意図せず遅れてしまったというケースは少なくありません。しかし、変更届の未提出・遅延は、思わぬ形で事業者様の経営を直撃するリスクがあります。

    ■ リスク①:免許換え申請・更新申請が受け付けてもらえない

    支店展開に伴う「大臣免許への免許換え」や、5年ごとの「宅建業免許の更新」を申請する際に、変更届が適切に提出されていない場合、申請を受け付けてもらえないことがあります。変更届の未提出があると、まず変更届の提出を求められ、その後でなければ本来の申請手続きに進めないため、免許の空白期間が生じるリスクがあります。

    ■ リスク②:行政処分の対象となる

    変更届の提出は宅建業法上の義務です。期限(変更から30日以内)を守らなかった場合、行政庁から指示処分を受けることがあります。悪質と判断された場合は業務停止処分に発展する可能性もあります。

    ■ リスク③:免許取消のリスク

    専任宅建士の不在状態が長期間にわたり、かつ行政指導にも従わない場合は、最終的に免許取消処分に至るケースもあります。不動産業の命綱である免許を失うことは、事業継続に致命的なダメージを与えます。

    6.退職が判明したときの実務的な対応手順

    では、専任宅建士の退職が判明した際、実際にどのような手順で対応すればよいでしょうか。

    【STEP 1】後任の宅建士候補を速やかに確認する
    退職の申し出があった段階で、社内に宅建士資格を持つ従業員がいないか確認します。いなければ、採用活動を開始するか、資格保有者の紹介を受けることを検討します。「2週間以内」という期限は非常に短いため、早期に動き出すことが重要です。

    【STEP 2】後任宅建士の「専任性・常勤性」を確認する
    後任候補者が、他社の専任宅建士として登録されていないか、兼業・兼務が問題にならないかを確認します。資格の有無だけでなく、法定要件を満たしているかどうかのチェックが必須です。

    【STEP 3】後任宅建士の「勤務先変更届」を手続きする
    後任宅建士は、宅建士登録をしている都道府県(大阪府の場合は大阪府知事)に対して、勤務先の変更登録を申請します。この手続きが完了しないと、その宅建士を専任宅建士として届け出ることができません。

    【STEP 4】会社として「変更届」を提出する(30日以内)
    退職した宅建士の削除と、新たな専任宅建士の追加を記載した変更届を、大阪府知事(または国土交通大臣)宛てに提出します。

    【STEP 5】保証協会への届出(加入している場合)
    全日本不動産協会や全国宅地建物取引業協会(ハトマーク)等の保証協会に加入している場合は、保証協会への変更届出も必要になります。各協会の定款・規程に従って手続きを行ってください。

    7.大阪府での宅建業免許手続きにおける注意点

    大阪府知事免許の場合、変更届の提出先は大阪府 都市整備部 住宅建築局 建築指導室 建築振興課 宅建業免許グループです。

    近年、宅建業法の改正により手続き上の変更が生じています。たとえば、令和6年(2024年)5月25日以降は、専任の宅地建物取引士に関する変更届において、「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」の添付が原則不要となりました(ただし、役員や政令使用人を兼任する場合は従来通り必要)。

    このように、手続きに関するルールは改正によって変わることがあります。「以前と同じ対応で大丈夫だろう」という思い込みが思わぬミスにつながることがありますので、最新の情報を確認することが大切です。

    不安な点がある場合は、手続きに精通した行政書士に相談することをお勧めします。

    8.行政書士に依頼するメリット

    専任宅建士の変更届は、一見すると「書類を出すだけ」のように思えますが、実際には次のようなつまずきポイントがあります。

    ・後任宅建士の専任性・常勤性の要件確認ができていない
    ・宅建士個人の「勤務先変更登録」と会社の「変更届」を混同している
    ・2週間・30日という期限の起算日を誤っている
    ・書類の記載ミスや不備による補正(やり直し)が生じ、期限内に完了できない
    ・保証協会への届出を失念している

    アドバンスリンク行政書士事務所では、大阪府内を中心に宅建業免許に関する新規申請・更新・変更届の代行サポートを行っています。ご依頼いただければ、要件の確認から書類作成・提出まで一貫してサポートしますので、本業に専念していただくことができます。

    まとめ

    本記事のポイントを整理します。

    ・専任宅建士は、従業者5人につき1人以上、事務所ごとに設置が義務
    ・「常勤性」「専任性」の両方を満たすことが必要
    ・退職等で欠員が生じたら、2週間以内に補充しなければならない
    ・専任宅建士の変更があったときは、30日以内に変更届を提出する義務がある
    ・変更届の未提出・遅延は、免許換え・更新手続きのトラブルや行政処分のリスクに直結する
    ・大阪府の場合、手続き先は建築振興課 宅建業免許グループ

    専任宅建士に関するお困りごとは、早めにご相談いただくことが、最悪の事態(業務停止・免許取消)を避けるための最善策です。

    お問い合わせ・ご相談

    アドバンスリンク行政書士事務所では、大阪府を中心に宅建業免許の新規申請・更新・変更届のサポートを行っています。

    「専任宅建士が退職してしまった」
    「変更届の期限が迫っている」
    「自分で手続きできるか不安」

    そんなお悩みをお持ちの不動産事業者様は、ぜひお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。

    【事務所名】アドバンスリンク行政書士事務所
    【対応エリア】大阪府全域(大阪市・堺市・東大阪市・枚方市・豊中市・吹田市 ほか)
    【ホームページ】https://advancelink-office.com/
    【お問い合わせ】ホームページのお問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■ 関連キーワード
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ・専任の宅地建物取引士 設置要件
    ・専任宅建士 退職 手続き
    ・宅建業 変更届 30日
    ・宅建業免許 変更届 専任宅建士
    ・宅建業 専任宅建士 人数 計算
    ・宅建業免許 大阪
    ・宅建業 変更届 大阪府
    ・専任宅建士 変更届 大阪
    ・宅建業免許 行政書士 大阪
    ・不動産業 開業 大阪 行政書士
    ・専任の宅建士が退職したらどうなる
    ・専任宅建士 不在 2週間 どうする
    ・宅建業 専任宅建士 退職 補充期限
    ・宅建業 変更届 忘れた リスク
    ・専任宅建士 常勤 要件 テレワーク
    ・宅建業 従業者 5分の1 計算方法
    ・専任宅建士 兼務 できない 理由
    ・宅建業免許 変更届 行政書士 依頼
    ・不動産業 専任宅建士 何人必要
    ・宅建業法 第15条 専任の宅地建物取引士
    ・宅建業免許 更新
    ・宅建業免許 大臣免許換え
    ・宅建業 保証協会
    ・全日本不動産協会 全宅連
    ・宅建業法 第9条 変更届
    ・不動産業 開業 必要なもの
    ・行政書士 宅建業 大阪

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    • URLをコピーしました!

    この記事を書いた人

    目次