【大阪の建設業許可】ガラス工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士が徹底解説【ガラスフィルム張りも対象!特定建設業の注意点も解説】

■ はじめに

「サッシ・窓ガラスの取付け工事を専門にやっているが、500万円を超える工事が出てきたので建設業許可を取りたい」「ガラスフィルムの貼り付け工事は建設業許可(ガラス工事業)の対象になるのか」「特定建設業のガラス工事業を取りたいが、どの資格が必要か」——大阪府内のガラス工事業者・サッシ業者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

建設業の許可は全29業種に分類されており、「ガラス工事業」は建物の窓・外壁・屋根・間仕切り等にガラスを加工・取付けする専門工事業種です。住宅の窓ガラスから商業ビルのガラスカーテンウォール、特殊強化ガラスや防火ガラスまで幅広い工事をカバーしており、建物の採光・断熱・防火・防犯性能を高めるうえで欠かせない役割を担っています。

ガラス工事業は29業種の中では比較的シンプルな業種として知られていますが、実務上は「ガラスフィルム張りも対象工事に含まれる」「特定建設業の専任技術者には1級建築施工管理技士(または指導監督的実務経験)が必要」「技能検定ガラス施工2級は合格後3年以上の実務経験が必要」という3点の注意事項があります。

本記事では、大阪府でガラス工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、対象工事の全体像、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート、そして実務上の重要な注意点まで、建設業許可を専門とする行政書士の視点から丁寧に解説します。

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■ ガラス工事業とは

ガラス工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、ガラス工事とは「工作物にガラスを加工して取付ける工事」とされています。

定義はシンプルですが、「ガラスを加工して取付ける」という点に注目することが重要です。単にガラスを嵌め込む工事だけでなく、強化加工・切断加工・フィルム加工を施したガラスを建物に取り付けるすべての工事がガラス工事業の対象です。また、ガラスそのものではなく「ガラス製のフィルム材」の貼り付け工事もガラス工事業に含まれます。

【ガラス工事業の主な対象工事の例示】

・板ガラス取付け工事
——建物の窓・ドア・間仕切り等への普通板ガラス・フロートガラスの取付け工事
・強化ガラス取付け工事
——エントランス・店舗出入口・ガラスドア等への強化ガラスの取付け工事
・複層ガラス取付け工事(ペアガラス・トリプルガラス)
——断熱性能向上のための複層ガラスの取付け・交換工事
・防火ガラス取付け工事
——防火区画・防火戸等への防火ガラス・網入りガラスの取付け工事
・合わせガラス取付け工事
——防犯・飛散防止目的の合わせガラスの取付け工事
・ガラスカーテンウォール取付け工事
——ビル外壁のガラスカーテンウォール(金属枠付きガラスパネル)の取付け工事
・ガラスブロック取付け工事
——外壁・間仕切り等へのガラスブロック積み工事
・鏡取付け工事
——建物内の洗面所・店舗・ホテル等への鏡(ガラス製)の取付け工事
・ガラスフィルム張り工事
——既設ガラス面への断熱フィルム・遮熱フィルム・防犯フィルム・装飾フィルム等の貼り付け工事

「ガラスフィルム張り工事」がガラス工事業に含まれる点は、意外と知られていない重要なポイントです。ガラスそのものを取り付けるのではなく、既存のガラス面にフィルムを貼る工事であっても、ガラス工事業に該当します。省エネ・防犯・紫外線カット等のニーズを背景にガラスフィルム施工の需要が増加している近年、この点を正確に把握しておくことが重要です。

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■ 隣接業種との工事区分の考え方

ガラス工事業は他業種と比べて業種区分が比較的シンプルで、「工作物にガラス(またはガラスフィルム)を加工して取り付ける」工事はほぼすべてガラス工事業に該当します。ただし、実務上注意が必要な隣接業種との境界があります。

【1】ガラス工事業と建具工事業の区分

サッシや窓枠(アルミサッシ・スチールサッシ等)の取付け工事は「建具工事業」に区分されます。アルミサッシ(窓枠)の設置はサッシ(建具)の設置であり建具工事業、そのサッシにガラスをはめ込む工事はガラス工事業という整理です。

ただし、実務上は「サッシ取付け+ガラス嵌め込み」を一体として施工するケースが多く、大きな工事ではガラス工事業と建具工事業の両方の許可を持っておくことが望ましい場合があります。

【2】ガラス工事業と内装仕上げ工事業の区分

間仕切りの設置工事では、ガラスパーティション(ガラス製間仕切り)を設置する工事はガラス工事業ですが、スチールパーティション・アルミパーティション等(ガラスを使わないもの)は内装仕上げ工事業に区分されます。

【3】ガラス工事業とカーテンウォール工事(鋼構造物工事業)の区分

大型ビルのカーテンウォールの場合、ガラスパネルを取り付ける工事はガラス工事業に含まれますが、カーテンウォールの金属フレーム(鋼製フレーム)を製作・取付けする工事は鋼構造物工事業に区分されるケースがあります。超高層ビルのカーテンウォール工事を一括受注する場合は、複数業種にまたがる工事内容の確認が必要です。

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■ 建設業許可が必要となるケース

ガラス工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業許可が必要となるのは以下の場合です。

・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事

一般的な住宅の窓ガラス1枚の取替えは500万円未満ですが、商業施設・オフィスビル・マンション等の大型物件における窓ガラス一括交換工事、ガラスカーテンウォール工事、ガラスフィルム大規模施工等では500万円を大きく超えるケースが一般的です。

大阪府内では、大阪梅田・中之島・難波・天王寺等の商業ビル・オフィスビル・ホテルの建設・改修工事に伴うガラス工事の需要が安定しており、元請ゼネコン・サッシメーカーから下請工事を受注する際にも「建設業許可(ガラス工事業)の取得」を条件とされるケースが増えています。

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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件

建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること

法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。

・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと

2020年10月の建設業法改正により要件が緩和されており、以前より多様な経歴での対応が可能となっています。

【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること

ガラス工事業は「指定建設業7業種」(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)には該当しないため、一般建設業では技能検定・実務経験ルートが活用できます。ただし、特定建設業の専任技術者については前号の板金工事業と同様に制約があります(詳しくは次章で解説)。

【要件3】誠実性があること

申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。

【要件4】財産的基礎等があること

一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること

特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること

ガラス工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。

【要件5】欠格要件に該当しないこと

申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。

・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など

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■ ガラス工事業の専任技術者要件

ガラス工事業は指定建設業に該当しないため、一般建設業のみならず特定建設業においても実務経験ルートを活用できます。ただし、特定建設業の国家資格ルートは「1級建築施工管理技士のみ」という制約がある点は、前号の板金工事業と共通しています。

【一般建設業許可の専任技術者】

一般建設業許可を受けようとする場合、ガラス工事業の専任技術者は次のいずれかの要件を満たす必要があります。

ルート①:国家資格・技能検定による方法

以下のいずれかを保有している者が該当します。

・1級建築施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級建築施工管理技士(種別:仕上げ)
・技能検定「ガラス施工」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
・登録硝子工事基幹技能者(一般社団法人全国建設室内工事業協会)

ガラス工事業特有の資格として「技能検定ガラス施工」と「登録硝子工事基幹技能者」があります。

「技能検定ガラス施工」は、ガラスの切断・加工・取付けに関する技術を認定する国家技能検定であり、ガラス工事を専業とする職人の方にとって最も身近な専任技術者資格です。1級はそのまま専任技術者になれますが、2級の場合は「合格後3年以上の実務経験」が必要です(平成16年4月1日時点で合格していた者は1年以上)。

「登録硝子工事基幹技能者」は、一般社団法人全国建設室内工事業協会が実施する登録基幹技能者資格であり、ガラス工事の現場を総合的に管理・指導できる技術者として認定されます。

ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法

建築学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。

・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験

ガラス工事業の指定学科は「建築学」に関する学科(建築科・建築工学科等)に限定されています。土木工学・機械工学等は指定学科に含まれませんのでご注意ください。

ルート③:実務経験のみによる方法

・ガラス工事業に関して10年以上の実務経験を有する者

資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、ガラス工事業に関して10年以上の実務経験があれば一般建設業の専任技術者になることができます。ガラス職人として長年現場で経験を積んできた方には最も活用しやすいルートです。

なお、緩和措置として、ガラス工事業の実務経験が8年を超えており、かつ他の建設業種の実務経験を合わせた合計が12年以上ある場合にも、一般建設業の専任技術者として認められる場合があります。

【特定建設業許可の専任技術者】

ガラス工事業は指定建設業に該当しないため、特定建設業の専任技術者についても次のいずれかを満たせば足ります。

・1級建築施工管理技士(特定建設業専任技術者として認められる国家資格)
・一般建設業の専任技術者要件を満たす者であって、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上のガラス工事について、2年以上の指導監督的実務経験を有する者

板金工事業と同様に、特定建設業の専任技術者として認められる国家資格は「1級建築施工管理技士のみ」です。「2級建築施工管理技士(仕上げ)」や「技能検定ガラス施工1級」は一般建設業の専任技術者にはなれますが、特定建設業の専任技術者にはなれません。

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■ 大阪府でガラス工事業の許可を取得する際の注意点

大阪府内でガラス工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを7つ厳選してお伝えします。

【1】ガラスフィルム張り工事もガラス工事業の許可が必要
省エネ・遮熱・防犯・紫外線カットを目的としたガラスフィルムの貼り付け工事は、ガラス工事業に該当します。「ガラスそのものを取り付けるわけではないから許可不要」という誤解がありますが、ガラスフィルム張りも500万円以上の工事であれば建設業許可が必要です。大規模ビルの全窓へのフィルム施工は1件当たりの金額が500万円を超えることがあり、ガラスフィルム専業業者の方も許可取得の必要性を確認してください。

【2】特定建設業は「1級建築施工管理技士」または「指導監督的実務経験」が必要
ガラス工事業の特定建設業専任技術者として認められる国家資格は「1級建築施工管理技士のみ」です。「技能検定ガラス施工1級を持っているから特定建設業も取得できる」という誤解がありますが、ガラス施工1級は一般建設業の専任技術者にはなれますが、特定建設業の専任技術者にはなれません。特定建設業許可を目指す場合は、1級建築施工管理技士資格者の確保または指導監督的実務経験の整備が必要です。

【3】「技能検定ガラス施工」2級は合格後3年以上の実務経験が必要
技能検定「ガラス施工」の2級合格者が専任技術者になるには「合格後3年以上の実務経験」が必要です(平成16年4月1日時点で合格していた者は1年以上)。2級に合格しただけではすぐに専任技術者にはなれないため、申請前に合格年月日と合格後の実務経験期間を確認してください。

【4】サッシ工事(建具工事業)との同時取得が効率的
ガラスの取付け工事と、そのガラスを嵌め込むサッシ(窓枠・ドア枠)の取付け工事を一体として受注するケースでは、ガラス工事業と建具工事業の両方の許可が必要になります。サッシ工事とガラス工事を一体として提供する事業者は、ガラス工事業と建具工事業を同時に取得することで、受注機会を大幅に広げることができます。1級建築施工管理技士がいれば、両業種の特定建設業専任技術者を1人で兼任することも可能です。

【5】実務経験10年の証明書類は「ガラス工事」の内容が明確な記載が必要
実務経験ルートで申請する場合、10年分の工事実績を証明する書類(工事請負契約書・注文書・請求書等)において「ガラス取付け工事」「板ガラス工事」「ガラスフィルム施工工事」など、ガラス工事業に該当することが明確な工事名称の記載が必要です。「改修工事一式」「内装工事」の記載のみでは認められない場合があります。書類の内容が審査を左右しますので、専門家のチェックを受けることをおすすめします。

【6】指定学科は「建築学」のみ——土木・機械系は対象外
ガラス工事業の指定学科は「建築学に関する学科」のみです。土木工学・機械工学・電気工学等の卒業者は、指定学科卒業による実務経験の短縮は適用されません。ガラス工事業で学歴ルートを使う場合は、建築学系の学科を卒業していることが必要です。

【7】許可取得後の決算変更届・更新申請・変更届を徹底管理する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、専任技術者・役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。これらを怠ると許可が失効するだけでなく、罰則の対象にもなりえます。

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■ まとめ

ガラス工事業は、板ガラス・強化ガラス・複層ガラス・防火ガラス・ガラスカーテンウォール・ガラスブロック・ガラスフィルムの取付け工事を専門とする業種です。「ガラスフィルム張り工事もガラス工事業に含まれる」という点は見落とされやすい重要ポイントです。

専任技術者の要件については、一般建設業では「技能検定ガラス施工」「登録硝子工事基幹技能者」「2級建築施工管理技士(仕上げ)」「10年実務経験」など複数のルートが活用できます。特定建設業の国家資格ルートは「1級建築施工管理技士のみ」という制約がある点は、前号の板金工事業と同様に注意が必要です。

「ガラスフィルム工事で500万円を超えてきたので許可が必要か確認したい」「技能検定ガラス施工2級を持っているが合格後の実務経験が足りているか確認してほしい」「サッシ工事(建具工事業)と同時に申請したい」「特定建設業の許可取得を目指しているが1級建築施工管理技士がいない場合の対策を相談したい」——どのようなご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士にお気軽にご相談ください。

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