【大阪の建設業許可】造園工事業とは?工事の範囲・許可要件・専任技術者の資格を行政書士が徹底解説【公園・屋上緑化・植栽工事を請け負う方へ、指定建設業の落とし穴も解説】さく井工事業

■ はじめに
「樹木の植栽工事や公園整備工事を専門にやっているが、500万円を超える工事が出てきたので建設業許可を取りたい」「建物の屋上緑化工事は造園工事業の許可が必要か、それとも建築工事業の許可が必要か」「造園施工管理技士の資格は持っていないが、造園の実務経験が10年あれば特定建設業の許可が取れるのか」——大阪府内の造園工事業者の方から、このようなご相談をいただきます。
建設業の許可は全29業種に分類されており、「造園工事業」は庭園・公園・緑地等の苑地を築造し、または建築物の屋上や道路を緑化する専門工事業種です。都市の緑化推進・防災対策・環境保全への関心の高まりを背景に、公園整備・屋上緑化・道路の植栽工事の需要が増加しており、大阪府内でも造園工事業の許可取得ニーズが高まっています。
この業種において特に注意が必要なのは3つのポイントです。第一に、造園工事業は「指定建設業7業種」のひとつであるため、特定建設業の専任技術者には1級造園施工管理技士等の1級国家資格が原則必要で、実務経験のみのルートは使えないこと。第二に「技能検定『造園』(1・2級)は一般建設業の専任技術者として使えるが、特定建設業の専任技術者には使えない」という制約。第三に「屋上緑化工事・公園設備工事・緑地育成工事等も造園工事業の対象である」という、範囲の広さ——この3点を正確に理解することが許可取得の鍵です。
本記事では、大阪府で造園工事業の建設業許可取得を検討されている事業者様に向けて、対象工事の全体像、隣接業種との工事区分の考え方、許可取得に必要な5つの要件、専任技術者の資格ルート(指定建設業特有のルールを含む)、そして実務上の重要な注意点まで、建設業許可を専門とする行政書士の視点から丁寧に解説します。
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■ 造園工事業とは
造園工事業は、建設業法上の29業種のうち「専門工事」に分類される業種のひとつです。国土交通省の定義によれば、造園工事とは「整地、樹木の植栽、景石の据え付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、または植生を復元する工事」とされています。
「苑地の築造」「緑化」「植生の復元」という3つの柱が造園工事業の本質です。樹木・植物・石・水・地形を組み合わせて自然環境を人工的に構築・維持する工事全般が対象となります。
【造園工事業の主な対象工事の例示(国交省ガイドラインより)】
・植栽工事
——庭園・公園・道路の植え込み・花壇等への樹木・低木・草花・芝生の植付け工事。住宅や商業施設の外構植栽、公道沿いの街路樹植栽も含む。
・地被工事
——斜面・平地に芝生・グラウンドカバー植物等を植え付けて地面を覆う工事。法面緑化工事も含む。
・景石工事
——庭石・飛び石・石灯籠・石組み等の景石(けいせき)を据え付けて庭園・造形を構成する工事。
・地ごしらえ工事
——植栽工事の前段階として行う整地・土壌改良・腐葉土投入等の地盤整備工事。
・公園設備工事
——公園内に設置される修景施設(花壇・噴水・彫刻等)、休養施設(東屋・ベンチ・休憩所等)、遊戯施設(ブランコ・滑り台・砂場等)、便益施設(トイレ・売店等)の建設工事。
・広場工事
——修景広場・芝生広場・運動広場等の広場を築造する工事。
・園路工事
——公園内の遊歩道・緑道・散策路等の園路を建設する工事。
・屋上等緑化工事
——建築物の屋上・壁面・ベランダ等を緑化する工事。屋上庭園の造成・緑化パネルの設置・壁面緑化設備の設置等。大阪府のみどりの風促進条例等を背景に需要が増加している。
・緑地育成工事
——樹木・芝生・草花等の植物を育成する工事。土壌改良・施肥・支柱設置・剪定等を組み合わせて行う継続的な管理工事。
大阪府内では、公共の都市公園整備・道路植栽・河川敷公園・大阪城公園等の大型公共造園工事から、住宅・マンション・商業施設の外構・植栽工事まで幅広い造園工事の需要があります。特に、都市の緑化推進に関する大阪府の条例・補助制度を活用した屋上緑化・壁面緑化工事の需要が増加傾向にあります。
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■ 重要!隣接業種との工事区分の考え方
造園工事業は「土木一式工事業」「建築工事業」「とび・土工・コンクリート工事業」と工事区分が重なりやすく、業種判断に迷うケースがあります。
【1】屋上緑化工事は造園工事業(建築工事業ではない)
建築物の屋上・壁面等を緑化する工事は「造園工事業」に区分されます。「建物の上で行う工事だから建築工事業ではないか」と考えがちですが、国土交通省のガイドラインでは屋上等緑化工事は明確に造園工事業に位置づけられています。屋上緑化の植栽基盤(防水・排水層・軽量土壌)の設置も、緑化工事の一環として造園工事業の範囲に含まれます。
ただし、屋上緑化のために必要な建物本体の防水工事は防水工事業、構造的な補強工事は建築工事業に区分されますので、複合的な工事を一括受注する場合は必要な許可業種の確認が必要です。
【2】公園の園路・広場工事と土木工事業の区分
公園内の遊歩道・園路の舗装工事は、一見すると舗装工事業や土木一式工事業に見えますが、「公園整備の一環として行う園路工事・広場工事」は造園工事業に区分されます。公園全体の整備工事(植栽・設備・園路を総合的に施工する)を元請として受注する場合は土木一式工事業の許可が有効な場合もあります。
【3】法面緑化工事(地被工事)と「とび・土工・コンクリート工事業」の区分
法面(のりめん)の保護工事には、モルタル・コンクリートによる法面保護(とび・土工・コンクリート工事業)と、植物による緑化(造園工事業の地被工事)の2種類があります。種子吹付け・植生マット等の植物による法面緑化工事は造園工事業ですが、モルタル・コンクリート吹付けによる法面保護はとび・土工・コンクリート工事業です。
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■ 建設業許可が必要となるケース
造園工事業を含む「建築一式工事以外」の専門工事において、建設業許可が必要となるのは以下の場合です。
・1件の請負代金が500万円以上(税込)の工事
住宅の小規模な庭園工事や剪定作業のみであれば500万円未満にとどまることも多いですが、公共公園整備工事・大型商業施設の植栽工事・マンション外構の造園工事・屋上緑化工事等では500万円を超えるケースが一般的です。
国・大阪府・大阪市等の地方公共団体が発注する公共造園工事(都市公園整備・道路植栽工事等)への参加には建設業許可の取得が事実上の前提条件です。大阪府内では都市公園の整備・老朽化した公園施設の改修・道路沿いの植栽管理工事など公共造園工事の発注が継続的にあります。
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■ 建設業許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、業種を問わず共通して以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
【要件1】経営業務の管理を適正に行う能力があること
法人の場合は常勤の役員等のうち1名、個人の場合は事業主本人(または支配人)が、建設業に関して一定の経営経験を有していることが求められます。
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある者
・許可を受けようとする業種以外の建設業に関して6年以上の経営業務管理責任者の経験がある者
・上記に準ずる者として国土交通省令で定める要件(建設業に関する経営体制が整備されていることの確認等)を満たすこと
2020年10月の建設業法改正により要件が緩和されており、以前より多様な経歴での対応が可能となっています。
【要件2】営業所ごとに専任技術者を置いていること(★造園工事業は指定建設業)
造園工事業は「指定建設業7業種」のひとつです。特定建設業の専任技術者については、実務経験のみでは要件を満たすことができず、原則として1級の国家資格が必要です(詳しくは次章で解説)。
【要件3】誠実性があること
申請者(法人の場合はその役員等)および営業所の専任技術者が、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。
【要件4】財産的基礎等があること
一般建設業許可:以下のいずれかを満たすこと
・自己資本の額が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること
・許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業許可:以下をすべて満たすこと(より厳しい基準)
・資本金の額が2,000万円以上であること
・自己資本の額が4,000万円以上であること
・欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
造園工事業で特定建設業許可が必要になるのは、元請として受注した工事で下請業者への発注総額が5,000万円以上となる場合です(令和7年2月の法改正により、4,500万円から5,000万円に引き上げ)。大型の公共公園整備工事を元請として受注する場合には特定建設業許可が必要になるケースがあります。
【要件5】欠格要件に該当しないこと
申請者・法人の役員等・政令で定める使用人が、以下のような欠格要件に該当しないことが必要です。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・建設業法等の法令に違反して罰金以上の刑に処せられてから5年を経過しない者
・建設業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営む能力を有しない者 など
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■ 造園工事業の専任技術者要件(指定建設業のルールに注意)
造園工事業は「指定建設業7業種」のひとつであり、前号の電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業と同様に、特定建設業の専任技術者には実務経験のみのルートが使えないという重要な制限があります。
また、技能検定「造園」(1・2級)は一般建設業の専任技術者として使えますが、特定建設業の専任技術者には使えないという点も注意が必要です。
【一般建設業許可の専任技術者】
ルート①:国家資格・技能検定による方法
以下のいずれかを保有している者が該当します。
・1級造園施工管理技士(特定建設業の専任技術者も可)
・2級造園施工管理技士
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリートを除く」・総合技術監理「建設」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設-鋼構造及びコンクリート」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(森林部門「林業」・総合技術監理「森林-林業」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技術士(森林部門「森林土木」・総合技術監理「森林-森林土木」)(特定建設業の専任技術者も可)
・技能検定「造園」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験)
——造園職人向けの国家技能検定。植栽・庭石・景石・造形等の造園技術を認定。
・登録造園基幹技能者(一般社団法人日本造園建設業協会等)
・登録運動施設基幹技能者
造園工事業の専任技術者資格の中で最も身近なものとして「技能検定『造園』」があります。造園職人として長年技術を磨いてきた方が技能検定を取得することで、一般建設業の専任技術者要件を確実に証明できます。ただし、2級合格後は3年以上の実務経験が追加で必要です。
また「1級造園施工管理技士」は一般・特定の両方に対応でき、経営事項審査(経審)においても高い評価点(W点で1人あたり5点)が得られるため、公共造園工事の受注を目指す事業者にとって最も重要な資格です。
ルート②:指定学科卒業+実務経験による方法
建築学、土木工学、都市工学または林学に関する学科を卒業し、次の期間の実務経験を有する者。
・大学・高等専門学校卒業後 → 3年以上の実務経験
・高等学校・中等教育学校卒業後 → 5年以上の実務経験
造園工事業の指定学科は「建築学・土木工学・都市工学・林学」の4分野です。林学(林業・森林科学・緑地環境等の学科を含む)が指定学科に含まれている点は、造園工事業に特徴的な要素です。
ルート③:実務経験のみによる方法(一般建設業のみ)
・造園工事業に関して10年以上の実務経験を有する者
資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、造園工事業に関して10年以上の実務経験があれば「一般建設業」の専任技術者になることができます。庭師・造園職人として長年現場で経験を積んできた方に最も活用しやすいルートです。
【特定建設業許可の専任技術者(★指定建設業のため実務経験ルートは不可)】
造園工事業は「指定建設業」に該当するため、特定建設業の専任技術者は実務経験のみでは要件を満たすことができません。原則として以下の1級国家資格が必要です。
・1級造園施工管理技士
・技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリートを除く」・総合技術監理「建設」)
・技術士(森林部門「林業」等)
・技術士(森林部門「森林土木」等)
「技能検定『造園』1級を持っているが、特定建設業の専任技術者になれるか」というご相談をよくいただきますが、技能検定「造園」(1・2級)は一般建設業の専任技術者にはなれますが、特定建設業の専任技術者にはなれません。特定建設業許可を目指す場合は、1級造園施工管理技士または技術士(建設・森林部門等)の取得が必要です。
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■ 大阪府で造園工事業の許可を取得する際の注意点
大阪府内で造園工事業の建設業許可を取得・維持するうえで、30年の実務経験から特に重要と感じるポイントを7つ厳選してお伝えします。
【1】技能検定「造園」1級は特定建設業の専任技術者になれない
本記事で最も強調したいポイントです。技能検定「造園」の1級を保有していても、特定建設業の専任技術者にはなれません。「1級の技能士資格があるから特定建設業も取れる」という誤解が散見されますが、指定建設業(造園工事業)の特定建設業専任技術者には1級造園施工管理技士等の1級国家試験資格が必要です。技能検定1級の保有者で特定建設業を目指す方は、1級造園施工管理技士の受験計画を早めに立ててください。
【2】2級造園施工管理技士または技能検定「造園」2級は合格後の実務経験確認を
技能検定「造園」の2級合格者が専任技術者になるには「合格後3年以上の実務経験」が必要です(平成16年4月1日時点で合格していた者は1年以上)。2級造園施工管理技士は合格後の追加実務経験なしに一般建設業の専任技術者になれますが、技能検定2級については追加実務経験が必要な点を混同しないよう注意が必要です。
【3】屋上緑化工事は造園工事業の許可で対応できる
大阪府内では都市緑化推進条例等を背景に、ビル・マンション・商業施設の屋上緑化工事の需要が増えています。屋上等緑化工事は造園工事業の対象工事に明確に含まれていますので、屋上緑化工事を主力事業とする業者にとって造園工事業の許可は必須です。ただし、屋上緑化のための防水工事は防水工事業、建物の構造補強は建築工事業の許可が別途必要になるケースがあります。
【4】公共造園工事を目指すなら1級造園施工管理技士の取得が最優先
大阪府・大阪市が発注する都市公園整備工事・道路植栽工事等の公共造園工事に安定的に参入するためには、1級造園施工管理技士の取得が最優先です。この資格は経営事項審査(経審)においてW点(技術職員評点)で5点の評価を受けるため、公共工事の競争入札において企業の技術力評価に直結します。
【5】剪定・草刈りのみの管理業務は建設業許可不要
樹木の剪定・草刈り・施肥等の継続的な「管理業務(保守・点検・管理サービス)」は、建設工事ではなく「役務の提供」に該当するため、建設業許可の対象外です。ただし、剪定と合わせて土壌改良・支柱設置・補植等の工事を行う「緑地育成工事」として請け負う場合は造園工事業の対象となり、500万円以上であれば許可が必要です。
【6】実務経験10年の証明書類は「造園工事」の内容が明確な記載が必要
実務経験ルートで申請する場合、10年分の工事実績を証明する書類において「植栽工事」「公園整備工事」「景石設置工事」「屋上緑化工事」など、造園工事業に該当することが明確な工事名称の記載が必要です。「外構工事一式」「管理業務」等の記載のみでは認められない場合があります。
【7】許可取得後の決算変更届・更新申請・変更届を徹底管理する
建設業許可の有効期間は5年間で、期間満了30日前までに更新申請が必要です。毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」の提出が義務付けられており、専任技術者・役員等に変更があった場合は14日以内に変更届の提出が必要です。特に特定建設業の1級資格者が退職した場合は速やかな後任確保と変更届の提出が必要です。
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■ まとめ
造園工事業は、庭園・公園・緑地等の苑地を築造し、道路・建築物の屋上等を緑化する専門工事業種であり、「指定建設業7業種」のひとつです。特定建設業の専任技術者には1級造園施工管理技士等の1級国家資格が原則必要で、技能検定「造園」1・2級は特定建設業の専任技術者としては使えません。
また「屋上緑化工事・公園設備工事・緑地育成工事も造園工事業の対象」という範囲の広さ、「剪定・草刈りのみの管理業務は建設業許可不要」という境界線を正確に理解しておくことが、適切な許可取得計画につながります。
「屋上緑化工事が造園工事業の許可で対応できるか確認したい」「技能検定『造園』1級で特定建設業の許可が取れるか診断してほしい」「1級造園施工管理技士の取得と特定建設業取得の計画を相談したい」——どのようなご相談でも、ぜひ建設業許可専門の行政書士にお気軽にご相談ください。
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